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ESUS (Embolic Stroke of Undetermined Source)について②

引き続きESUSについて。

 

現在ESUSの原因として挙げられるものには以下のものがあります。

・低リスクの心内塞栓源
・大動脈粥腫状病変
・腫瘍関連
・奇異性塞栓
(・潜在性発作性心房細動)

順番に見ていきましょう。

 

1、低リスクの心内塞栓源

大動脈弁狭窄、キアリ網などなど
心臓の構造異常あるいは不整脈も含めて
統計や症例報告上はリスクがあるが、高いリスクとは
言えないものが挙げられています。
循環器疾患なので一つ一つはあまり詳しく語れないです・・・。
詳しくは前回の参考文献参照ください。

 

2、大動脈粥腫状病変

動脈自体に高度の狭窄がなくてもその変化が潰瘍状になっていたり
する場合は、塞栓源となり得ることが病理所見からも証明されているようです。
もともと動脈硬化の強い症例で両側散在性の梗塞のような
頭蓋内血管単一の異常で説明できない場合は3DCTなど
大動脈の詳細な評価が必要なのではないでしょうか。
症例報告で聞いたものでは大動脈原性の脳梗塞を繰り返すため
なんと大動脈置換した、というものもありました。驚きです。

 

3、腫瘍関連

いわゆる広義のトルソー症候群ですね。
腫瘍による凝固異常あるいは腫瘍自体による腫瘍塞栓が原因となり
起こる場合です。進行癌で起きる場合が多い印象ですが
実際どうなのでしょうか。この辺りはまた詳しく調べたい分野です。
有効な治療は現状ヘパリンに限られています。

 

4、奇異性塞栓

右左シャントによって起きるものです。
PFOやASD、肺動静脈瘻などが原因となります。
昨年の複数のstudyでPFO closureの脳梗塞予防に対する
有効性が証明されたため注目を浴びており
積極的に検索する意義が上がってきたかもしれません。
第一選択とすべき検査はTransEsophageal Echocardiography(TEE 経食道心臓超音波)
ですが、なかなか検査の施行率は高くないことが今後の課題です。

 

5、潜在性発作性心房細動

7〜30日に渡って心電図モニタ計測を継続したところ10〜20%で
新規の発作性心房細動が認められた報告があり、入院中の検査や
論文で推奨される24時間の心電図ではやはり拾いきれない部分はあるようです。
必ずしもそれが全部脳梗塞の原因となっているかは不明ですが。

こうして原因を見てみると意外と多様な病態の寄せ集めで
できているようで、中々ESUSをまとめて単一の治療法というのは
確立できなさそうですね。

次回は治療について書きます。

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