引き続き脳波で勉強した内容を書いてみます。
前回記事はこちら。
脳波について自習してみる① -優位律動 正常・異常- – 脳内ライブラリアン
優位律動の次は持続性にみられる徐波についてです。
非突発性徐波
δ波 0.5-4Hz
θ波 4-8Hz によって形成される。
①周波数
②振幅
③反応性
④分布
⑤周期性 or 間欠性 or 持続性?
をチェックする。
①,②は原則として
と考える。(脳波超速ラーニングp.131より)
またθ波は成人で前頭~頭頂部、高齢者で側頭部に低頻度で出ることもある。
睡眠時であればδ波は出ても良い。
③については反応性が低い(痛み刺激・音刺激で抑制されない)ほうが病的と考える。(同書p.144)
徐波自体は補助診断であって、特異性には乏しい。
病変の部位によって徐波の所見の特徴が異なる。
(脳波判読p.116 表より引用)
上記の特徴に補足すると
①皮質病変
・皮質病変の影響は深部病変より局所的
・皮質の局所性病変は波形が不規則で律動性に乏しいpolymorphous delta activityが特徴
上記の表の特徴に一致しており紡錘波など欠如する
②深部病変 皮質下~中脳あたりまで順番に
・深部病変の中でも視床に病変があると優位律動が影響される
・視床下部~中脳網様体の損傷ではδ波が連続的に出現する
・橋/中脳以下の脳幹病変では昏睡でありながらα波が正常のように出現することがある
(前述のαcoma)
(脳波超速ラーニングp.122より)
以下はより具体的な徐波の例。
1、覚醒時にみられる徐波
大まかに間欠的か持続的かを分ける。
間欠的で典型的なのはFIRDA(frontal intermittent rhythmic delta activity)
持続性で典型的なのはPPDA(persistent polymorphous delta activity)
FIRDAは前頭部優位に両側同期性かつ間欠的にみられる律動性のδ波。
皮質と皮質下が広汎に障害される病変(=代謝性・中毒性・炎症性脳症や広汎な障害の出るアルツハイマー病など)や中脳などの深部病変でみられる。通常は刺激に反応性があり、抑制される。
垂直性眼球運動(アーチファクト)との鑑別が求められる。眼球運動は前頭部に出るが、頭頂部や後頭部には影響を及ぼさない。それに対して脳電位である場合は振幅が低いながらも他の部位に影響を及ぼし得る。(脳波判読第二版p.125)
PPDAは皮質に近い限局した白質病巣でみられる。持続的だが限局している高振幅δ波。
2、意識障害時にみられる徐波
αcomaと同様に、同じ周波数の波形でも意識障害でみられるのか、覚醒時にみられるのかで意味が異なる。
意識障害の重症度評価としては刺激への反応性が重要。
例えば、重症度が軽い順に考えると
持続性多形性δ波、刺激に反応あり>>低振幅δ波、刺激に反応なし、となる。(脳波超速ラーニングp.144)
昏睡時にも同様に、θcoma、δcomaではそれぞれの波形が背景活動としてみられるが、刺激に反応(抑制)がない。
こうしてまとめてみると特異性が高くないので、割と大雑把な印象を受けてしまいますね。次は一番難しい突発性の異常についてまとめます。
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