雨ばっかりで通勤中の読書ができないことに苛立ちを感じる日々でしたが、ようやくちょっと曇りとか晴れがみえてきて嬉しい限りです。
今回は脳波の自習内容。アーチファクトの中でも多くみられる眼球運動の見方と耳朶の活性化という現象についてみてみます。
前回までの記事はこちら
脳波について自習してみる① -優位律動 正常・異常- – 脳内ライブラリアン
脳波について自習してみる② -非突発性徐波- – 脳内ライブラリアン
脳波について自習してみる③ -突発性の異常(正常亜型)- – 脳内ライブラリアン
眼球運動
上下運動(上転、下転)と水平運動の場合に分かれます。
上下運動
まず原則として大事なのは、角膜が陽性に荷電しているので眼球が近づくと、陽性の波が出るということです。
つまり、前頭部(Fp1-2)に陽性徐波が出た場合、眼球が近づいていることになるので、上転している状態を考えます。
眼球運動しているときだけでなく、瞬きでも眼球は上に行くので同様の変化がでます。
ここで鑑別が必要なのは、前頭部に「脳の異常で」陽性徐波が出ている場合です。その際に役立つのは眼の周囲に貼ってある以下の電極です。
眼球運動であれば眼球下にあるX1に対して眼球が離れるため陰性に触れます。つまり前頭部の波形と逆位相です。
逆に脳から異常な電位が発生している場合、X1にも陽性の波形が出ます。つまり前頭部波形と同位相です。
眼球を中心にphase reverseしているかどうか、という考え方もできる気がします。
下転も同様に考えて、陽性荷電した角膜が離れていくので、前頭部に陰性波が出ると言えます。
水平運動
これも原則に沿って、角膜の動きで考えます。
右側に行くときはF4,6などの前頭部右側の電極に角膜が近づくので陽性の波が出ます。逆に、F5,7などの前頭部左側の電極は陰性になります。
左側に行くときはこれとまた逆ですね。
耳朶の活性化
耳朶の活性化とは、側頭部に出てきている波を耳朶が拾ってしまうため基準の電位が変わってしまい、まるで脳全体に電位の変化があるかのように見えてしまう現象です。
一般に耳朶はこのような影響を受けていなければ、基準の電位として使われており、耳朶を0として各電極の電位をみています。
具体的な例を図を使ってみてみます。側頭部T4に陰性の波形が出ていたとします。すると、A2の電極にそれが波及し、A2の電位が陰性となります。そのA2からみると他の部位は電位がなかったとしても、すべて陽性かのようにみえます。
これが耳朶の活性化です。
困るのは側頭葉てんかんなどで突発の陰性波が出た場合に、脳全体に陽性波が出ているようにみえてしまったり、α波が耳朶に波及した場合、前頭部までα波が広がっているようにみえ、diffuse α(びまん性α)の異常ととられてしまったりすることです。
解決策は双極誘導をうまく使うことです。図の例でみても、双極誘導に切り替えれば荷電していない部位はほとんど電位の変化が出ませんし、T4の周囲には電位の変化とphase reverseが出るので、側頭部の電位による耳朶の活性化だな、と分かります。
参考文献・おすすめ本:
『脳波の行間を読む デジタル脳波判読術』
下記の脳波超速トレーニングがあまりに良かったので、同じ著者のこちらも買ってしまいました。実際の症例が豊富に紹介されており、トレーニングの次の本として、重宝しています。まだ読書中です。
めちゃくちゃお勧めです。実際のデジタル脳波をDVDでいじってみながら、学べます。
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