医療系と言っておきながらしばらく触れられていなかったので
たまには今年の読んだ論文について触れておこうと思います。
今回紹介するのはこれ
Treatment Outcome in Patients With Newly Diagnosed Epilepsy Treated With Established and New Antiepileptic Drugs A 30-year Longitudinal Study
JAMA Neurol. 2018 Mar 1;75(3):279-286. doi: 10.1001/jamaneurol.2017.3949.
JAMA Neurologyより以前から同様の研究を発表されている
グループから大規模なてんかんの縦断研究の話。
30年間自施設の新規に診断されたてんかん患者において
抗てんかん薬によって発作消失率(1年間発作なし)などのデータを調べています。
論文の主旨としては抗てんかん薬によって63.7%の人が発作消失(1年間発作なし)
を得られたとしていますが、これが実際1982-1992年のデータと変わりないとしています。
つまり、新規の抗てんかん薬がかなりの種類出ているにも関わらず
意外にも発作の消失率は改善していない、、、という報告なのです。
これは色んな捉え方ができると思います。
例えば
・新規薬は副作用は少ないが効果自体は既存の薬剤と変わらない
(ただ副作用が少なくてアドヒアランス向上するなら効果も上がって良い気がしますが)
・新規薬を臨床医が使い慣れていない(至適血中濃度も不明だし)
・難治性のてんかんが増加している(・・・根拠が特にない、高齢てんかんは増えていると思いますがデータによりますけどそこまで治療成績が悪くないはず)
・そもそも発作消失が得られない4割にはてんかんじゃない人がいる
あるいは既存の薬剤では効かない
昔のデータより改善していない、というのはやや残念な気持ちになりますが
副作用はせめて減っているんじゃないかと思いたいのは臨床医のエゴでしょうか。
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