(2)の問題。
(1)で求めたθの最尤推定量を求めて
平均と分散を求めていく問題。
最尤推定量はさほど難しくはなくて
対数尤度関数=0をおいて導出します。
まず同時確率密度関数から。
\(f_n(x|\theta)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\theta}}e^{-\frac{x_1^2}{2\theta}}・\frac{1}{\sqrt{2\pi\theta}}e^{-\frac{x_2^2}{2\theta}}…\frac{1}{\sqrt{2\pi\theta}}e^{-\frac{x_n^2}{2\theta}}\)
対数尤度関数にすると
\[ – n \log\sqrt{2\pi\theta} – \sum_{i=1}^{n} \frac{x_i^2}{2\theta} \] \[ = -\frac{n}{2} \log\theta – \frac{n}{2} \log 2\pi – \sum_{i=1}^{n} \frac{x_i^2}{2\theta} \]
θで微分して = 0 とすると
\[ – \frac{n}{2\theta} + \sum_{i=1}^{n} \frac{x_i^2}{2\theta^2} = 0 \]
よって
\[ \hat{\theta}^{ML} = \frac{\sum_{i=1}^{n} x_i^2}{n} \]
最尤推定量は無事求まったので
ここから平均と分散を求めていきます。
平均は
\[ E[\hat{\theta}^{ML}] = E\left[\sum_{i=1}^{n} \frac{x_i^2}{n}\right] \] \[ = \frac{1}{n} E\left[\sum_{i=1}^{n} x_i^2\right] \] \[ = \frac{1}{n} \cdot n E[x_1^2] \] \[ = \theta \]
大変なのは分散です。
\[ {Var}(\hat{\theta}^{ML}) = \frac{1}{n^2} n {Var}(\hat{\theta}^{ML}) \] \[ = \frac{1}{n} {Var}(x_1^2) \]
とここまではいいんですが
\[ {Var}(x_1^2) \]
を求めないといけません。
\[ {Var}(x^2) = E[x^4] – (E[x^2])^2 \]
\( E[x^4] \) が出てきます
あとの微分は気合ですが、実際やろうとしたときも
計算ミスしました。地味に面倒です。
\( M'(t) = \theta t \exp\left(\frac{\theta}{2} t^2 \right) \)…
(以下3回微分)
\( M””(0) = 3\theta^2 \)
よって求めたい分散は
\[ \frac{1}{n} {Var}(x_1^2) = \frac{1}{n} \left\{ E[x_1^4] – (E[x_1^2])^2 \right\} \] \[ = \frac{1}{n} (3\theta^2 – \theta^2) = \frac{2\theta^2}{n} \]
となります。
大阪で整形外科の医師をしているものです.tosuke先生の解説は大変に分かりやすく.大変助けられています.
Q6-13 (2) ここはスタインの不等式(本文p48-49)を使うべき箇所かと思います.理由は対象が正規分布(期待値が0だとさらに都合がよい)であることと,次数が高いところです.具体的にはE[X^4] = E[X X^3] = θE[3X^2] =θ*3*E[X^2] = θ*3*θ^2 = 3θ^2になってあっさり求められると思います.他の演習問題では問3-25(2)と問4-21が該当するかと思います.
tosuke先生.す,すみません.スタインの「等式」の間違いです.つい,「不等式」と書いてしましました..
>show55さん
ご指摘頂きありがとうございます。確かに高次モーメントではスタインの等式を使うべきですね。