専門である神経内科の知識はほっといても仕事で勉強しますし、知識も使うので記憶に残りますから、あまりこのブログで書いたりはしてないのですが。
ただ、普段は使ってないけど、学ばないといけない知識というのもありまして。
例えば脳波検査は勤務先だと専門医の先生が読んでくださるので自分で読む頻度が少ないんです。でも勤務先変わったら自分で判読する必要がある場合もありますし、神経内科医としては必要な知識です。
最近業務がたまたま暇なので(コロナのせいでは多分なく)自習してまとめたものを載せていきます。
脳波についての教材はこの辺です。ざっと感想も書いておきます。
読みやすい文体で脳波の説明をしています。通読しやすく最初に読む本としてお勧めです。
どちらも図が大きく実際の脳波が多数載っているのでわかりやすいです。特に脳波超速ラーニングはおすすめです。実際のデジタル脳波計をみるときと同様に自分で誘導や振幅、フィルタも変えてみることができるDVD付きです。デジタル脳波計を使っているところであれば、実際のものに非常に近く、素晴らしいの一言につきます。本自体も脳波の図が主体で簡潔にまとめてあり、これを主体にまとめていきます
脳波超速ラーニングの最後のほうのセルフラーニングのページに、脳波を読むときの手順として①優位律動、②非突発性徐波、③突発性異常、④所見・総合判定、という順番が紹介されているのでそれに沿って学習していきます。
誘導の話とか、振幅・周波数などの基本的な話は省きます。
まずは優位律動から。
優位律動
背景活動ともいうが、覚醒時に見られる最も基本的な脳波の波形。
①周波数:α波(8-13Hz)
低振幅β波(13Hz以上)を前頭部に認めることはある
②振幅:50μV前後
③左右差:振幅差は50%未満、周波数差は1Hz未満
④分布:後頭部優位
⑤反応性:α blocking(開眼によるα波の抑制が基本)
①周波数
②振幅
年齢により変動することがある
高齢になるほど周波数は落ちる(8-9Hz)
覚醒度が落ちても周波数・振幅は落ちる
③左右差
周波数は1Hz以上、振幅は50%以上左右差があれば異常
脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などで皮質に近い障害で生じうる
(脳波の旅への誘いp.127)
④分布
後頭部~側頭~頭頂部に分布
F3,F4,F7,F8あたりまでくるとびまん性α(diffuse α)となり異常(脳波超速ラーニングp.70)
・diffuse α
分布が広範で刺激でブロックされない(α blockingがない)のが正常との鑑別点
高度の低酸素脳症や橋中脳レベルの比較的限局した病変で認められる(脳波判読第2版 p.197)
ただ(脳波超速ラーニングp.151)では脳幹病変は後頭部優位のα波、感覚刺激で抑制がみられる、とされている
耳朶の活性化(耳朶の基電極に電位が及んでしまい耳朶基準でみたときに、電位のないところで
電位があるようにみえる現象)によってdiffuse α様の変化を呈することがあるので注意(脳波判読第2版p.198)
⑤反応性
開眼によるα波の抑制、周波数振幅ともに抑えられる
この辺まではとりあえず学んだ知識をそのまま使えますね。いつも学んでよく分からなくなるのは突発性の異常あたりなんですよね。どこまでがアーチファクトでどこまでを異常ととればいいかが分かりにくいです。その辺は次々回あたりで。
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