※ブログ記事の商品・サービスリンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。

難しい本に出会ったときのRPG的な解決策

RPGをやったことはあるでしょうか。ドラクエとかそういうやつです。

 

僕も子どもができるまではゲームが好きで結構色々やってました。典型的なものでいえばドラゴンクエストなんかはⅠ~Ⅵまでやりました。Ⅵが一番好きで、データがよく消えましたが(デスタムーアまで倒したのに)、もう一度クリアするくらいはやってました。

 

よくあるRPGゲームの流れは

雑魚敵を倒して経験値集め・お金稼ぎ→経験値を集めてレベルアップ・集めたお金で新しい装備を買う→より強い敵と戦って倒す→新しいステージへ進む

というものかと思います。

 

本を読んでいて、「意味がよくわからん」ということは、高度な本になればなるほど出てくるのですが、こうした自分にとって難しい本と出会ったときに、「あーこれはRPG的な思考だなー」と思いました。

 

ちょっと例を挙げて考えてみます。

 

目次:

 

 

例、難しい本に出会ったとき

 最近、『欲望の資本主義3』という本を読みました。

欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

  • 作者:丸山 俊一,NHK「欲望の資本主義」制作班
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: Kindle版
 

NHKのドキュメント番組『欲望の資本主義』を書籍化したものです。 欲の限りに拡大する資本主義の限界や批判を鋭く捉えた番組ですが、この中でドイツのボン大学教授で新進気鋭の哲学者、マルクス・ガブリエルという人の話が目に留まりました。

 

デジタル社会を批判的にみており、人間を超えるような「真のAIは存在しない」と主張しています。さらに現代のGAFA(Google, Amazon, facebook, Apple)といった企業の興隆を、人々が知らぬ間に精神的な労働を搾取されているものと批判しています。

 

この意味を理解するために必要なのが、ガブリエルの主張する新実存主義とした思想なのですが、そもそも実存主義って何?となりました。

 

そこで実存主義の中で有名かつマルクス・ガブリエルにも取り上げられているハイデガーについてまずは知ってみようと思い、『ハイデガー入門』を買ってみました。

 

ハイデガー入門 (ちくま新書)

ハイデガー入門 (ちくま新書)

  • 作者:細川亮一
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: Kindle版
 

ところが、冒頭からさっぱりと意味が分かりません。著者は意味が分からない人に向けてこう書いています。

 確かにハイデガーが格闘している問いの地平を知らなくても、『存在と時間』について語ることはできる。…(中略)…しかしこうした読み方は感じを知らない子供の読み方である。子供は知らない漢字を読み飛ばし、平仮名だけを読む。(細川亮一著『ハイデガー入門』)

 

それはその通りと思ったので、無理して読むことなく一旦諦めます(笑)。

 

そもそも「実存主義」やハイデガーの思想に関係するフッサールの「現象学」などのキーワードについて分からなかったのです。

 

ここで、突然ですがRPGゲームだったらどうするかを考えてみます。

 

RPGゲームでボスと戦うとき

RPGゲームではある程度ゲームを進めると強力な敵が出てくるようになり、さらにはボスと戦うことになります。

 

ボスは強力なため、倒せず負けてしまう事が起こり得ます。さて、ここで倒せなかったらどうするでしょうか。

 

もっと弱い雑魚敵、なかでも自分に丁度いい経験値の入るほど良い雑魚敵を倒してレベルアップや装備を充実させます。また、場合によっては特殊なアイテムがないと倒せないボス敵もいます。情報を集めてアイテムを探し、入手します。

 

難しい本=ボス、と出会ったときにはこれと同じことをやればよいのではないでしょうか。

 

例に当てはめてみる

 

『ハイデガー入門』(=ボス)に勝てなかったので、まずレベル上げを始めます。「実存主義」を含んだ横断的な優しい入門書を読み、ネットの記事も少し目を通します。「現象学」についても同様に入門書を探します。(=アイテム集め)そうしてレベルが上がって、アイテムを集めたら再度ボスに挑みます。そして倒せなかったらまたレベル上げに戻ります。

 

ちなみに実はこの『ハイデガー入門』は前書きが難しいものの第1章からは比較的平易な表現になっており、ただ倒すボスが間違っていて別のエリアに行けばよいだけでした(汗。

 

果たしてボスを倒さなかったらどうなるか

 RPGゲームでボスを倒さずに雑魚敵ばかりと戦っていたらどうなるでしょうか。レベルも上がりにくいですし、新しいアイテムも手に入らない、話も進みません。

 

これを読書で考えてみると「自分にわかる簡単な本ばかり読んでいる状態」でしょうか。ビジネス書や新書は読みやすいものが多いのですが、そればかり読んでいてもどうも新しい刺激になりません。「目的」に向けて本を読んでいくには自分の理解をやや超えたものまで進めていく必要があります。

 

ただ、あまりにも大きく超えてしまうと進めない事態に陥るので(ボスが強すぎる)一旦戻ってレベル上げが必要になります。必要なアイテム(多くの場合は専門用語かと思いますが)を集めることも有用です。

 

注意点

ここで必要な注意点として、1つには、そもそも論理が破綻している本(=ボスが倒せないクソゲー)があります。以前紹介した佐藤優著『読書の技法』にも書いてありましたが、そういった本は早々に読むのをやめるべきです。

読書の技法

読書の技法

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2013/05/02
  • メディア: Kindle版
 

 もう一つ注意が必要なのは、自分のレベルを把握することが難しいこと。簡単な本を読み続けて、知識を増やしたつもりになるのと同じくらいに、難しい本を読んで理解したつもりになることは危険です。RPGはボスを倒したかどうか、自分のレベルが上がったかどうか、が客観的に分かりますが、現実にはそれが分かりません。よくある読書法で紹介されている「アウトプットをする」というのが一つの解決策です。

 

昔読んだ本で『人生で大切なことはみんなRPGから教わった』(市村よしなり著)というものがありましたが、ロールプレイングゲームの名の通り、ある種の人間の役割をゲーム化したものなので、類似点はあってしかるべきなのだろうと思います。

人生で大切なことはみんなRPGから教わった

人生で大切なことはみんなRPGから教わった

  • 作者:市村 よしなり
  • 発売日: 2010/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)