結局雨がひどい日や病院のオンコールの日は車通勤しているのでオーディオブックを基本聞いています。
確か統計の勉強をし始めたころに、勉強法の本を買っていたのですが、改めて聞き直したものをまとめて、一度自分の勉強方法を見直してみました。聞き直した本はこちらです。
著者は「東進ハイスクール」 の現代文講師ですが、wikipediaみると広島大学客員教授とか結構肩書がありますね。
現代文講師らしく、論理力と記憶力をうまく相乗させた勉強方法の利点について語られています。
目次:
論理力を使って筋道を通す、記憶は必要最低限に
本書では、新しい事柄を勉強する際にまず「論理力を使って、重要な事柄とその筋道を通すこと」に集中すべき、としています。記憶すべき事柄はその筋道に沿って必要最小限のものに留めることを推奨します。
何故なら、単純になんの関連もない事柄を記憶していくことは、苦痛かつ時間がかかり、また記憶をしにくいからです。
例えば有名な”エビングハウスの忘却曲線”というものがあります。
googleで検索して一番上にヒットするこの記事が分かりやすいです。知らない方は見てみてください。
エビングハウスの忘却曲線で分かる、最適な復習のタイミング | 留こみ!
これをみると1時間後には56%を忘却してしまう、という悲惨な結果なわけですが、注意が必要なのは、これがあくまで意味のない音節を覚えたときの話なのです。
物事が関連している場合など必要性が上がれば上がるほど記憶はしやすくなります。そこで、今回の記憶術が勧めるように、まずは論理関係にある重要事項のみに絞って記憶をするということが有用になってくることが分かります。
論理力を用いることは意外とできていない
「文章の論理関係を見抜く」ということは普通に日本語が分かればできるんじゃないの、と思いがちですが、意外と難しいものです。
以前にこの本を読んだときに愕然とした覚えがあります。
この本では、小学生の教科書の文章が例に出して、読者が本当に理解ができているかどうか試される部分があるのですが、これですら意外とできない。著者が実際に大学生に試しているのですが、やっぱりできていないのです。
つまり、文章の意味をきちんと読んでいるようで、実は背景にある情報を勝手に付け足していたり、「分かったつもり」で読み飛ばしていたり、知らないうちにかなり独自な読み方をしているのです。これは大量の情報を入れていくうちにつきやすい癖のようなものだと思います。
もうひとつ、論理力が足りないなと思った例を紹介します。
以前「読書術」の記事で紹介した佐藤優著『読書の技法』では論理力向上のために、今回の出口先生が著者となる現代文の参考書を推奨していました。
そこで、実際にこの出口先生の現代文の参考書を買って解いてみた(受験以来何年ぶりだろう)わけですが、現代文の問題と解説を読むと、いかに自分がきちんと読み取れていないかを自覚できます。
1回はこういったことをやってみるのをオススメします。 本当に意外とできないので。
コントロールとモニタリング
論理力を磨いたら、あとは記憶の問題に入ります。本書では記憶は以下の4つの段階に分類されるとしています。
Familiar・・・なんか聞いたことあるな、みたことあるなという状態
Recognition・・・選択肢の問題なら選べる状態
Recall・・・内容を言われれば思い出せる状態
Automatic ・・・自動的にすらすら知識が出てくる状態
たいていの場合はrecallまでもっていくことができれば、試験問題はクリアできると思われます。ただ、論理的に知識を組み立てたり、即座にアウトプットする必要がある第二言語の会話などはautomaticまでもっていく必要があります。
「知識をautomaticにすると言語として習熟したことになる」という話は以前に紹介したクラッシェンのモニターモデルの話に似てくるかなと思います。そういった意味でも説得力はあります。
この4つの記憶の状態を把握するうえで重要になるのが”メタ記憶”です。著者によればこれは、「記憶内容が以上の4つの状態のどこにあるのかを把握する記憶」とのことです。
把握のためには、練習問題を解いたりアウトプットすることで確認をします。そして足りない部分があれば、recall以上の状態にもっていけるように調整をします。
これが記憶のコントロールとモニタリングです。
以上の論理力とメタ記憶を用いることで勉強効率を上げていくというのが筆者の一番の主張になります。
これらの内容をもって、自分の統計学の勉強を見直してみると、各公式が「最低限記憶すべき内容」であり、それぞれの公式をつないでいく証明式が「論理力を使って通す筋道」といったところでしょうか。
その周りに「いろいろな特殊な問題」が位置していると考えると、またもうしばらくはautomaticに出せるようになるまで、重要な部分を抜粋していった記事を書いていくのがいいのかな、と思ってます。
コメントを残す