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大人が身につけることが難しい「モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽勇気くしたオックスフォード児童発達学博士が語る自分でできる子に育つほめ方叱り方」

我が家に第二子も生まれた、ということで

育児書熱がまた上がってきまして、こちらを読んでみました。

 

先月出たばかりの本ですね。

 

もともと第一子のときも子育て本をいくつか買ってみたのですが

あんまりいいものがなかったです。

 

というのも、仕事柄かもしれませんが

どうしてもエビデンスだったり、論理的な理由付けがないと

イマイチ納得できないところがあり

育児の分野でぱっと目に付くものに

そういったものはあまり多くないんですよね。

読みやすさが重視されているから、ということや

育児自体が中々科学的に検証しにくいことだからかもしれません。

 

また、当時アドラー心理学の本を結構読んでいたので

アドラー式の子育て、みたいな本をいくつか買いましたが

どれも「これは本当にアドラーか??」というような

きわめて私見に近い内容のものも多く

繰り返し読むようなものがあまりありませんでした。

 

そこで今回読んだこの本ですが

きちんと参考文献を伴って根拠がそれなりに挙げられており

かつ、具体的なアドバイスも多数ある

ということで非常に良かったです。

 

読み終わってからタイトルを再度みて気づきましたが

「モンテッソーリ教育・レッジョエミリア教育」の本ではなく

それを知り尽くしたオックスフォード大学の博士が

「根拠に基づいた良い育児」を説明する本でした。

なのでそれぞれの教育法については概説のみで細かく語られません。

教育方法で調べるとやたら出てくるモンテッソーリ教育については

また別の本も読もうと思います。

 

全体の印象としては

アドラー心理学+マインドセット+アサーションスキル

を活かしたものだったと思います。

順番に紹介します。 

 

賞罰教育の否定

この本で述べられている大切なことは

「こどもを一人の人間としてみること」

 

それをするためには

成果・能力・性格をほめる(賞)やそれらを叱る(罰)で

子どもをコントロールをしようとするのは避けるべきとしています。

 

上記のやり方は短期的には効果があるかもしれませんが

長期的な視点ではこどもに悪影響が出ます。

 

褒め方にポイントがあり

・成果ではなくプロセス

・具体的にほめる

・どう感じたのかを質問する

といったやり方が有用であるとしています。

 

このほめ方を間違うと

・「ほめられ依存症」になる

・興味を失う

・チャレンジ精神が低下する

・モチベーションが低下する

などのデメリットが起きます。

 

また罰についてはさらに難しく

・「ダメ!」「違う!」をできるだけ使わない

・結果ではなく努力やプロセスに目を向ける

・好ましくない行動の理由を説明する

・親の気持ちを正直に伝える

の4つがポイントとされます。

 

こちらも罰を与えるという間違ったやり方をすると

・より攻撃的、反発的な態度を生み出す

・力を使った問題解決方法が正当化される

・親子関係にヒビが入る

・罰を与えても反省を促さない

といったデメリットが生じます。

 

ここまでみてきて、ほめる場合・しかる場合とともに重視されるのは

「子どもと対等な関係を築くこと」

「評価よりも具体性をもって表現する」

「成果よりプロセスを重視する」

ということですが、対等な関係/評価しない/賞罰教育の否定というと

やっぱりアドラー心理学を思い出さずにはいられません。

 

ベストセラーとなった「嫌われる勇気」にも

「叱ってはいけない、ほめてはいけない(p.145)」

「ほめるという行為には『能力のある人が、能力のない人に下す評価』

という側面が含まれています(p.147)」

「われわれが他者をほめたり叱ったりするのは

『アメを使うか、ムチを使うか』

の違いでしかなく、背後にある目的は操作です。(p.147)」

 とあります。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 

子どもの自立性を育てることを考えたときに

コントロールしようとするのは明らかに逆効果です。

ここにアドラー的な考え方が含まれているのが分かります。

 

そもそもアドラーは児童相談所を作りカウンセリングなども

行っていたことから子どもの健康な精神的成長についても

理解が深かったと思われ、子どもの教育に当てはまることもうなずけます。

 

しなやかなマインドセット を身に着ける

もうひとつこの本と関わりが深いのは

p.39で引用されているキャロル・S・ドゥエック博士の研究です。

先ほどのほめ方叱り方で「成果ではなくプロセスを重視する」という点は

この研究がよく表しています。

 

これは128人の小学5年生を3つのグループにわけ

IQテストを受けてもらう実験です。

詳細は本をみて頂きたいのですが、グループごとに

①能力をほめる

②努力をほめる

③具体的には何も触れずおざなりにほめる

とほめ方を変えて、その後テストを再検したところ

②の生徒がもっとも成績が向上した、というものです。

 

この実験をしているドゥエック博士はスタンフォード大学の心理学教授で

自分が努力をすれば成長できるということを信じる

「しなやかなマインドセット」が能力の向上に重要と考えています。

逆に性格や能力は変わらないと考えてしまい

人からの評価を得て自分の能力を証明しようとする

「硬直したマインドセット」の人は能力が伸びにくいということを

数々のデータをもって示しています。

 

マインドセット「やればできる! 」の研究

マインドセット「やればできる! 」の研究

 

この本の中でも子どもの教育について、触れている章があります。

子どもだけでなく自分自身にも大変役立つのでお勧めです。

 

この良いマインドセットを身に着けることこそ

子どもの成長にポジティブな影響を与えることでしょう。

これもまた褒め方の根拠となります。

 

アサーティブコミュニケーション

もう一つテクニックとして使われているのは

「こういうことするのはダメ!」というのはなくて

「”私”がこういう気持ちになって困るからこうしないでほしい」

という、相手を責めずに自分を主体としたメッセージを送る

”アサーティブコミュニケーション”というスキルです。

 

相手に選択をゆだねる形になるため強要するわけではなく

相手を否定しない、かつ自分の気持ちも伝えることができる

関係性を良好に保つ優れたコミュニケーション手段です。

どんな時でもこの伝え方をすればいいとは思いませんが 

これもテクニックのひとつとして役に立ちます。

 

言うは易し行うは難し

言われると納得するのですが

育児されている方なら実際やることはかなり難しいのは分かると思います。

 

家事をしながら子どもが家の中でむちゃくちゃしているのを見ると

「ダメでしょ、そんなことしたら」とパッと言ってしまったり

遊んでいて何かを見てほしそうなときに

「おーすごいね(適当)」となってしまったりするときは多々あります。

 

ここまで書いてきた内容を考えると

アドラーにせよ、マインドセットにせよ、アサーションにせよ

大人どうしのコミュニケーションでも身につけることが難しい技術です。

 

アドラーに至っては「嫌われる勇気」の中でも

「本当に身に着けるには今まで生きてきた年数の半分を要する」

としています。

 

まず自分がその技術を身に着けるところから始まります。

子どもにやろうとしても難しいのは当然で、完璧にできるはずもなく

意識し続けることが大切だと思いました。

 

また、大人同士のコミュニケーションと違って

育児の場合に知識として必要なのは

子どもが発達の過程でどこまでのことができるか、ということです。

 

この本は3~12歳を対象としています、と明記されています。

当然1,2歳の子どもはそもそもコミュニケーションもしっかりとれないので

除外されると思います。

子どもがどこまで理解して我慢したり、協力したりできるかは

年齢によって大きく異なります。

 

本の終わりに発達過程の目安が書いてあります。

ここについては知識としてどこまでのことができるのか、を

押さえておかなければ子どもに無理な要求をすることになりかねません。

この辺りはもう少し知識をつけたいところです。

また追加で本を読んでぜひ書いてみたいです。

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