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【統計応用・医薬生物学】RMST法の期待値と分散【統計検定1級対策】

引き続き生存時間解析の話ですが、2019年の過去問ではRMST法の問題が出ていたので、期待値と分散の導出について簡単に説明します。

RMST法ってそもそもなんやねんということは過去に一度記事を書きました。

medibook.hatenablog.com

範囲にも書いてないし、公式の教本にも書いてないのに問題が出されるとかもはやどうしたらいいんでしょうか笑

まずは期待値の導出についてです。

生存時間の確率変数をT、観察期間をτとすると、被験者の生存時間XはX=min(T, τ)で表現されます。つまり、観察期間中にイベントが起きればTとなりますし、観察期間中に起きなければτでカウントされるわけです。

通常の生存時間解析と同様に、イベントの起きる確率密度関数をf(t), 分布関数をF(t), 生存関数をS(t)とします。

生存時間Xの期待値を取ると

E[min(T, \tau)]=\int_0^\tau tf(t)dt+\int_\tau^\infty \tau f(t)dt

という形で区分を分けた積分になります。

さらにそのまま変形を続けますが、ポイントは部分積分を使うところですね。

あとは1-F(t)=S(t)の関係式を使えばOKです。

\([tF(t)]_0^\tau-\int_0^\tau F(t)dt+[\tau F(t)]_\tau^\infty(第1項に部分積分を使った)\\=\tau F(t)-\int_0^\tau(1-S(t))dt+\tau(1-F(t))\\=-\int_0^\tau1dt+\int_0^\tau S(t)dt+\tau\\=\int_0^\tau S(t)dt\)

以上より観察期間中の生存関数の面積が期待値(=平均生存時間)に一致することが示せました。

続いて分散ですがこれもほぼ同様です。

二乗の期待値を考えていくと

\(E[X^2]=\int_0^\tau t^2f(t)dt+\int_\tau^\infty \tau^2f(t)dt\\=[t^2F(t)]_0^\tau-\int_0^\tau 2tF(t)dt+[\tau^2 F(t)]_\tau^\infty\\=\tau^2F(\tau)-\int_0^\tau 2t(1-S(t))dt+\tau^2F(\tau)+\tau^2\\=\int_0^\tau 2tS(t)dt\)

となるので、こちらも生存関数が分かれば導出できます。

なお、過去問では確率密度関数を指数分布に設定しています。知っていれば確実に解けそうな問題でしたが、知らないといきなりは解けないように感じますね、、、。

参考文献:

http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/pdf/rmst.pdf

日本製薬工業協会が作ったRMST法についてのわかりやすいページです。全部で100ページ以上ある超大作。上記の期待値、分散の導出のほか、確率密度関数を指数分布やワイブル分布に仮定した場合も載せてあります。

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