【統計応用】95%信頼区間と2標本両側t検定【統計検定1級対策】

2016年の統計応用(共通問題)でこんな問題が出てました。

「2つのデータの95%信頼区間と2標本両側t検定の有意差の関係性を調べよ」

これって医療統計本の中では屈指の出来である(と個人的に思っている)「今日から使える医療統計(新谷歩著)」*1に出てきた話で、「95%信頼区間のエラーバーが重ならないこととp値(=有意差)がどう関係するか」ということですね。

一応答えとしては

95%信頼区間が重ならない→有意差あり

95%信頼区間が重なる→有意差あるかないかは不明

となります。

図で書くとこんな感じ。

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つまり、「95%信頼区間が重ならない」ことは「有意差がある」ことの十分条件ですね。ただ、必要条件ではない。

で、これが本当なのかどうかと思ってしまいますが、それを過去問と同じような例に沿いつつ、数学的にみてみようと思います。

問題設定

それぞれ独立した被験者をn人ずつ集め、AとBのそれぞれの処置を行います。結果は連続変数のデータでグループAのデータはx_1, x_2,...,x_nとなり、グループBのデータはy_1, y_2,...,y_nとなりました。

各グループの平均を\bar x, \bar y、不偏分散による標本標準偏差をそれぞれS_x, S_yとします。

5%の両側t検定を考えてみましょう。

実際に計算してみる

さて、まずは95%信頼区間が重ならないとはどういう状況かを数学的に表現します。

ここで\bar x\leq\bar yとしても一般性を失わないので、こう仮定します。

するとxの平均値+95%CIとyの平均値-95%CIが重ならないわけなので、自由度n-1, 2.5%分位点の値をt_{0.025,n-1}とすると

\bar x+t_{0.025,n-1}\frac{S_x}{\sqrt n}\lt\bar y-t_{0.025,n-1}\frac{S_y}{\sqrt n}

となります。

さて、次にt検定の検定統計量を考えてみると、サンプルサイズが同じという前提であるためプールされた分散は比較的小さくなり

T=\frac{\bar y-\bar x}{\sqrt{\frac{S_x^2+S_y^2}{n}}}

となります。

ここで先程の95%CIの不等式を当てはめると

(T=\frac{\bar y-\bar x}{\sqrt{\frac{S_x^2+S_y^2}{n}}}\\gt \frac{t_{0.025,n-1}\frac{S_x}{\sqrt n}+t_{0.025,n-1}\frac{S_y}{\sqrt n}}{\sqrt{\frac{S_x^2+S_y^2}{n}}}\=\frac{t_{0.025, n-1}(S_x+S_y)}{\sqrt{S_x^2+S_y^2}})

「有意差あり」となる場合は

t\gt t_{0.025,2n-2}ですので

\frac{t_{0.025, n-1}(S_x+S_y)}{\sqrt{S_x^2+S_y^2}}と大小比較してみます。

t分布のパーセント表をみるとわかりますが、自由度は高ければ高いほど、同じパーセントでも値は小さくなっていきます。

よって

(t_{0.025,n-1}\gt t_{0.025,2n-2})

ですね。

さらに

\frac{(S_x+S_y)}{\sqrt{S_x^2+S_y^2}}

については、S_x\geq0, S_y\geq0より

(S_x+S_y)^2\geq S_x^2+S_y^2

が成り立ちます。

よって

\frac{(S_x+S_y)}{\sqrt{S_x^2+S_y^2}}\geq1

ですね。

以上のことから

t_{0.025,2n-2}\lt\frac{t_{0.025, n-1}(S_x+S_y)}{\sqrt{S_x^2+S_y^2}}\lt T

が成立し、95%信頼区間が重ならなければ、2標本両側t検定の有意差ありになることが示せました。

参考文献:

*1「今日から使える医療統計」

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