前回記事では類義語や共起語を含めて単語を学習できるエクセル英単語帳の作り方を紹介しました。
【Chat GPTで英語学習】類義語・共起語に着目した英単語帳の作り方(プロンプト例付き)
続いてはこの単語帳とそのリストを用いてどう単語を覚えていくか。そのためのアウトプットの方法について紹介していきます。
アウトプットの必要性
初めにごく簡単に、覚えた単語をアウトプットするにはどのような方法が望ましいかを考えてみたいと思います。
まず、「英単語を覚える」というと英単語とその和訳を一対一対応で覚えていくやり方があります。例えば”apple”=「りんご」といった具合です。これを正答できるまで繰り返すという方法が個人的にはあまり良い方法だとは思いません。
単語は文脈に応じて微妙にニュアンスや意味が異なることが多く、特に抽象的な単語では完全に英語と日本語で合致することはありません。例えば同じ「大きい」という意味でもbigとlargeでは意味が異なりますし、使う対象や使い分けも日本語の場合と異なることが多いです。こうした単語の違いは一対一対応での記憶方法では身につきません。
次に、単語のみで覚えるという点も問題です。前回記事で述べていたように、どのような共起語を用いると自然なのかは他の単語との組み合わせで初めて分かります。単語をただそれだけで覚えてしまうといざ使おうとしたときに、どの共起語と組み合わせれば良いか分かりません。
また、動詞とどの前置詞を組み合わせるのが適切であるかも日本人に理解しにくい重要な点で、単語そのものだけでなく、合わせてアウトプットを重ねることで正しい表現を確認することが必要と言えます。
以上から単語と和訳の一対一ではなく、文脈・周辺語句の情報を含めたアウトプットの方法が望ましいと考えています。そういった方法の例としてどんな方法があるかをこれから見ていこうと思います。
アウトプット方法①空欄補充
まず簡単なものとして空欄補充です。あらかじめ単語を提示しておき、次のような指示を出します。あらかじめ出す単語は前回記事で使ったエクセルの英単語帳からコピーして貼り付けるのがお手軽です。
ここに出てきた単語を空欄にし、英文の穴埋めをする問題を出してください。英文には和訳をつけて下さい。和訳では空欄を作らないでください。私が回答しますのでその後、答えを教えてください。
こうすることで和訳付きの英文で空欄を補充する問題を出してくれます。例として次のような問題を出してくれました。
Sure, I will create a fill-in-the-blank exercise for you with the provided words and their translations in Japanese. Please fill in the blanks with the appropriate words from the list above.
English Sentences (Fill in the blanks):
She felt ( ) when she heard she had won the lottery.
After being ( ) from the group, he started to feel like a ( ).
They are planning to ( )for their next vacation.
The journalist aimed to ( ) surrounding the misuse of funds.
Japanese Translations:彼女は宝くじに当たったと聞いて、非常に嬉しく感じました。
グループから疎外された後、彼は孤立した存在になったと感じ始めました。
彼らは次の休暇に遠く離れた場所へ旅行する計画を立てています。
ジャーナリストは資金の使い方の不正を明るみに出すことを目指しました。
あとは順番に空欄の単語を答えるだけです。正答かどうか教えてくれます。
一番簡単な方法ですが、どうしても和訳と一対一対応になりやすいので単語に慣れるためにやる程度にしておくのが良さそうです。
アウトプット方法②和文英訳
続いては和文を英訳する方法です。同様に単語を提示したあと、次のようなプロンプトを渡します。
ここに出てきた単語で日本語の文章を英訳する問題を出してください。私が回答しますので解答を採点してから添削し、解説してください。ただし、どの単語を選んだかは伝えないでください。
すると渡した単語を使った文章を英訳する問題を出してくれます。最後の一文の指示がないとどの単語を使うべきか知らされてしまうことがあるので、注意書きとして追加しています。
また同時に学びたい多くの単語を使った文章を書いてみたい場合は以下のような指示を出すと、それに則ってやってくれます。
ここに出てきた単語をできるだけたくさん使って日本語の文章を英訳する問題を出してください。できるだけ短い文かつ自然な文章となる範囲でお願いします。私が回答しますので解答を採点してから添削し、解説してください。ただし、どの単語を選んだかは伝えないでください。
ちょっと不自然な文章になることもありますが、多くの単語を組み合わせて新しく使いたい場合に役立ちます。例えば以下のような出力がされます。
了解しました。以下の日本語の文章を英語に翻訳してください。使用する単語は先ほどリストアップしたものから選んでくださいが、どの単語を選んだかは伝えないでください。
日本語の文章:
彼女は新しいプロジェクトに取り組むことになり、その知らせにとてもわくわくしていました。しかし、彼女は以前、チームから孤立してしまった経験があり、そのことが心配の種でした。今回は、遠く離れた地域での仕事であり、彼女はその地域の問題に注目を集めるために、多くの人々と協力することを望んでいます。
この文章を英訳してください。提出後、採点と添削を行い、どの単語を使ったかを推測しながら解説を加えます。
ちなみにこの問題は私が指示していた以下の単語を使ったものとなっています。
thrilled, isolated, remote, highlight the issue
比較的自然な文章ですので、実践的に単語を使う良い練習になります。
アウトプット方法③その単語を使うと予想される質問を投げてもらう
②の方法では日本語から考えるので、普段必要となるシチュエーションと異なる場合があります。英語を練習するときはすべて英語にして英語脳モードに切り替えたいという主張もあるでしょう。そこで3つめの方法では「練習したい単語を使うであろう質問を投げかけてもらい、返答を修正してもらう」という形をとります。こんな無茶ぶりができるのもChatGPTならではですね。プロンプトの例は以下になります。
ここに出てきた単語を使って英語の会話の練習をしたいです。ここに出てきた単語を使った返答が必要になる質問をこちらに投げかけてください。
次に、私が返答を書きますので、その返事をさらに返してください。また同時に私の返答の内容を自然な
ものに修正し、解説してください。
ただし、どの単語が必要かは私に伝えないでください。
こうすると英語で質問を投げかけてきますので、それに対して返答を書きます。さらにそれを修正してもらえます。覚えようとしていた単語がどこで使われるかも解説してくれることが多いです。例えば感情に関する単語を並べた場合、以下のような質問を投げてくれました。
もちろん、英語での会話練習を始めましょう。
質問: “How did you feel when you found out you were selected for the lead role in the play?”
ちなみにこれに対して私が以下のように返したところ
User
I feel nervous and sometimes like a loner because I need to lead the team in the play.
以下のようにセリフに対する返事と文章の修正の両方をやってくれます。
ChatGPT
返答: “It’s completely normal to feel a bit nervous when you’re taking on such a big responsibility. Remember, being chosen as the lead means that you have the talent and ability to guide your team. Even if you feel like a loner at times, this is your moment to shine and bring everyone together. Embrace the challenge, and I’m sure you’ll be thrilled with the outcome.”
修正と解説: あなたの返答は自然ですが、質問に対してよりポジティブな感情を表現することで、リーダーとしての自信と期待を示すことができます。”nervous”と”loner”は質問の意図に合っていますが、”thrilled”や”excited”のようなポジティブな単語を追加することで、新しい役割に対する楽観的な見方を強調できます。また、チームを導くリーダーとしての自信を示すことで、会話に更なる深みを与えることができます。
私のネガティブさを指摘してきました笑
このまま会話を続けることを指示すれば継続できますし、打ち切って話題を変えることもできます。
主なアウトプット方法はここに示した通りですが、ここからはちょっとした応用や指示の調整について共通する部分を紹介していきます。
指示の応用例
前回出していない単語を出題させる/間違った単語を繰り返す
問題の中で使われなかった単語があった場合まんべんなく勉強したいときは以下のような指示を出して問題を繰り返すようにします。
ここまでの問題で使われなかった単語を使って同じ形式で問題を提示してください。
これを繰り返すことで提示した単語リストを全体的に学ぶことができます。また間違えた単語を含めて指示することも可能なので以下のようなプロンプトで指示しましょう。
ここまでの問題で使われなかった単語もしくは私が間違えて答えた単語を使って同じ形式で問題を提示してください。
一定の日数以内に勉強したものを使う
エクセル単語帳をコピペして渡す場合、あるいは有料版でエクセル単語帳データをアップロードする場合は勉強日に応じて出題する単語を調整することもできます。例えば以下のような文を問題文に追加します。
1カ月以上前の日付で勉強した単語のみ抽出するようにしてください。
するとその通りに調整をかけてくれます。間違えた回数や覚えたかどうかのチェックマークなどを独自に追加してそれを目安に抽出してもらう方法もできると思います。
その単語の使い方について解説してもらう
解説の際に課題となった単語の使い方を解説してもらうように指示すれば何度も繰り返し、単語の使い方を確認できます。間違えた単語のみに絞っても良いかもしれません。
問題のテーマを指示・変更する
単語の組み合わせ次第で問題文の内容は色々と変わります。例えば③の方法で質問の作成を依頼した場合、テーマなしでは以下のような内容でしたが
質問: “How did you feel when you found out you were selected for the lead role in the play?”
テーマを医学に絞ってもらった場合、次のような質問に変わりました。
質問: “Doctor, since starting the new medication, I’ve been feeling absolutely ecstatic. Is it normal to feel this exuberant about a treatment?”
どんな薬を飲んだのか気になるところですが、質問の様相はかなり違います。自分や相手の役割を指示することもできますし(自分は医者であなたは研究者の留学生です、など実用的なシチュエーション)資格試験に似せた形もできます。例えばTOEFL speaking section task1風にしてくださいと指示すれば、以下のようになりました。
“Describe a situation in which you felt extremely happy about an achievement or event. How did you celebrate, and how did it affect your relationships with those around you?”
受けたことがないと分かりづらいかもしれませんが、あるある感が漂う質問です。
現在のバージョンだとカスタム指示(アカウントのcustom instructions)で役割の設定も統一してできるので、使うシチュエーションが固定であれば予め指示を入れておくのもありかもしれません。
まとめ
英単語帳あるいは覚えたい英単語リストを使ってアウトプットをするための方法を紹介しました。自分の使いたいシチュエーションに合わせてこまごまと指示が出せるのが良いところなので、こだわって練習してみるのがおすすめです。単語の使い方としてはとても実用的にアウトプットできますし、スマホのアプリでも同様のことができますので、ちょっとした空き時間にも楽しめます。
あと問題なのは書くという行為がなかなか時間がかかるという点ですが、実は会話でも練習ができるようになっています。有料版かつapp限定で2023年9月からvoice conversationの機能も追加されていますのでこちらの機能の紹介も次回行いたいと思います。
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