統計応用もやりつつ、時々統計数理のほうも解いていっています。
今回は5章の問5。
順序統計量と平方変換の両方を使う良い問題です。
まずZ=min(X, Y)なのですが、これをどう表現するか。
解答例と同様に、順序統計量としてみて、一番小さい値と考えます。
順序統計量については以前一度記事を書いたので分からない人はどうぞ。
これに従うと、\(Z\) の確率密度関数は、標準正規分布の確率密度関数を \(\phi(z)\)、確率分布関数を \(\Phi(z)\) としたとき
\[
f_Z(z) = \frac{2!}{1!1!} \{\phi(z)\} \{1 – \Phi(z)\}
\]
となります。
さて求めたいのは \(Z^2\) でしたので、ここから平方変換をします。
\[
Z^2 = Y
\]
とすると
\[
f_Y(y) = \frac{1}{2\sqrt{y}} \{ f_Z(\sqrt{y}) + f_Z(-\sqrt{y}) \}
\]
となります。
先ほどの \(z\) の確率密度関数を代入すると
\[
f_Y(y) = \frac{2}{2\sqrt{y}} \{ \phi(\sqrt{y}) (1 – \Phi(\sqrt{y})) + \phi(-\sqrt{y}) (1 – \Phi(-\sqrt{y})) \}
\]
\[
= \frac{\phi(\sqrt{y})}{\sqrt{y}} \{ 1 – \Phi(\sqrt{y}) + 1 – \Phi(-\sqrt{y}) \}
\]
\[
= \frac{\phi(\sqrt{y})}{\sqrt{y}}
\]
最後の式変形について
まず、正規分布が左右対称であることより
\[
\phi(\sqrt{y}) = \phi(-\sqrt{y})
\]
となります。
次に、
\[
1 – \Phi(\sqrt{y}) + 1 – \Phi(-\sqrt{y}) = 1
\]
が成り立つことは、正規分布の累積分布関数の対称性から分かります。
よって、求められた
\[
f_Y(y) = \frac{\phi(\sqrt{y})}{\sqrt{y}}
\]
ですが、あとは \(\Phi\) のところに正規分布の式を代入すれば、自由度 1 のカイ二乗分布に一致することが分かります。
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