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COVID-19の終息をシミュレーションした論文

COVID-19は果たして終息するのか。

それをシミュレーションしたLancetの論文を読みました。

 

 

 

シミュレーションの方法について

 

3日前のLancetより

Feasibility of controlling COVID-19 outbreaks by isolation of cases and contacts

 

COVID-19が3カ月で終息(3-4か月の間に1人も感染者がでない)するために

必要な接触者特定率(接触者を特定して、有症状であれば隔離する)と

終息に向かう確率を推測した論文です。

 

つまり

どれぐらいの何%の接触者をきちんと隔離できれば

何%の確率で3カ月以内に終息するかを計算した研究、ですね。

 

シミュレーションの前提として

 

・reproduction number(再生産数) 

=COVID-19に感染した人ひとりがさらに増やす感染者数

 

・initial cases(初期感染者数)

 

・subclinical infection persentage(潜在的感染者割合)

=無症状のキャリアの割合

 

・short or long delay of isolation (隔離までの期間)

short は3.43日(SARSの流行終了間際のシンガポールでの隔離期間)

longは8.09日(今回の武漢初期)

 

を設定しています。

そして隔離後の感染は0%という条件になっています!!

うん、これは無理じゃないかな、、、

 

シミュレーションの結果は

 

で、シミュレーションの結果としては 

再生産数は 2.5

初期感染者数20人

隔離期間はshort

無症状のキャリア0%とした場合で

 

80%の接触者隔離に成功すれば

90%の確率で3カ月以内に終息する、という結果となりました。

 

これは90%の確率で3か月以内にということなので

もっと早く終息することもあり得ます。

 

ただこのシナリオになるかというと壁が多く

接触者隔離が60%に落ちるだけで、終息の確率は40%まで落ちます。

 

さらに悪い話としては

無症状のキャリアが10%と推定した場合も終息確率は40%近くまで、ぐっと下がります

 

で、実際どうなりそうか?

 

JAMAから2月28日に出された論文(viewpointですが)では発熱も83〜98%ということで

ただの風邪としてみている人も多数いるだろうことが分かります。

COVID-19—New Insights on a Rapidly Changing Epidemic

無症状キャリア、とまではいかないまでも、こういった人の鑑別は無理でしょうね。

 

また上記のように隔離によって0%まで感染が減らせるかというと、、、

実際問題、院内感染は必発であるように思います。

 

隔離期間も3日で済むかと言えばそれは難しい。

発症した人がきちんと自宅待機できていればもう少し

隔離できているかもしれませんが、それでも家族の感染の可能性はある。

 

そう考えると3カ月どころでは終息しない気しかしませんね。

 

ワクチンや重症化を防ぐ薬剤の開発・臨床試験での効果証明が

できれば流行しても最早遅るるに足らなくなるかもしれません。

あとは気候変動による再生産数の減少でしょうか。

南半球でも感染している国があることから

これもあまり見込めないように思われます。

希望的観測をするなら、若年者は無症状になりやすいようなので、今回の休校措置がそれに対して効果を上げてくれると良い気もします。

 

この記事を書いている途中でこんなニュースも

headlines.yahoo.co.jp

ニュース記事にするとしても、もう少し根拠となる理論を

並べてほしいところですけどね。 

 

今後の方向性に望むこと

 

政府の方針は大幅な自粛を促している雰囲気ですが

これらの予測が正しければ、確実に長期戦になりそうなので

経済活動を停止しすぎて首を絞めることにならないように

バランスをとっていくことが必要な気がします。

 

一律に外出・外食などを自粛する雰囲気となるのは

決して長期的に利点はないですし

これはすでに言われていることですが、なんでも診断・隔離するよりも

①重症化しやすい高齢者に感染させない

②院内感染を防ぐ

ということが最重要課題なんじゃないでしょうか。

 

・老人保健施設、介護ホーム、医療職・介護職の感染防止を徹底することと

・院内感染が発生した場合の体制を整える+徹底した感染防止をする

(感染症の専門家がいない病院も多数あるのでアドバイスが得るようにする)

・若年軽症者は感染が疑われたとしても、悪化がなければ

 決して医療機関を受診しないようにする

 

これをぜひしてほしいです。

特に医療者側からみると一番最後の項目が、できるかどうか不安です。

保険適応が通ったり、検査機器が増えた場合に

爆発的に受診者が増えてしまわないか。

 

インフルエンザでみられるように、日本は明らかに受診の必要のない人が

過剰受診しています。

本来若い健常者はインフルエンザが疑われても問題なく治るため

受診は不要です。欧米ではそうされています。

検査についても完璧なものではなく

企業側で診断書が必要というのがナンセンスな話です。

 

もちろん呼吸状態が悪いなどあればすぐに受診が必要ですが

その見極めを落ち着いて、一人ひとりがやれるようになることが最重要です。

正しい情報伝達を望みます。

 

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