『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』 アレックス・ペントランド著

データ解析について色々ネットで調べていたときに

たまたま紹介されていた本ですが面白かったので紹介します。

 

題名は

『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』

 

 

 

昨今のビッグデータ分析と言われるものによって

(特に、本書では「パンくず」と言われるような

会話時間や、誰と出会っていたか、どこにいたか等々の

些細な行動のデータ)

人の考え方や習慣がどのように変化するのかを解き明かした一冊となっています。

 

例えば、自分のような医者からの立場でいけば

患者さんが自分の健康管理の方法を

誰から学んで、誰に広めて、何を信じて何を信じないのか

それが分かれば、病気の予防にも役立てられると思うんですね。

 

本書からの内容と特に気になった知識を抜粋します。

 

 

 

 

社会物理学(=ソーシャル物理学)とは

社会物理学とは、情報やアイデアの流れと人々の行動の

間にある、確かな数理的関係性を記述する

定量的な社会科学である。(p16より)

 

つまり「人が接した情報→行動・習慣が変わるには

どのような要素が、どの程度影響しているか」を

定量的に示した学問、となります。

それにより何をすれば人々の行動を変えられるか

予測ができるようになる知識が手に入ります。

 

分かりにくいと思うので

ちょっと前に他の本でもみたような例をひとつ。

 

アメリカの大統領選挙の際に

フェイスブックを用いた実験が行われました。

フェイスブックに「投票に行こう」というメッセージを受け取って

それを誰かが見た場合に投票に行くかどうか。

 

片方の群では単純に「投票に行こう」と書かれただけでしたが

もう片方の群では、そこに投票を終えた知人の姿を載せるようにしました。

 

すると、知人の姿があるメッセージの方が、明らかに投票に行く人が増えたのです。

 

それはそうだろうと思うかもしれませんが

人の行動に影響を与える考えというのは単純に「情報」だけでは

十分でなく、「社会的な圧力・交流」を考えなければいけないということです。

 

この影響を定量化して色々なモデルに応用していくのが

本書で述べられている社会物理学になります。

 

なぜ発展してきたか

大量のデータを収集できるようになったことが

最も大きな変化と考えられます。

コミュニケーションツールとしてだけでなく

場所も追従できるスマートホンや

小型化されたマイク、センサなどの機械の発展により

コミュニケーションに関連した情報を集めていくことができるようになったため

急激に発展したといえると思われます。

 

現段階で得られた知識で印象的だったことは?

面白かったのは本書で研究されている

「人は社会的に交流のある他の人から考え・習慣をまねて学ぶ」

ということと、特性が人間という生物にとって

普遍的な特徴であるということです。

 

もともと人類は現代よりも長期にわたって言語に頼らず

社会的なネットワークを作り上げながら生きてきました。

人の行動や習慣を学ぶ・マネすることは生物学的な特徴であるわけです。

 

現代でも生活に必要な知識をすべて自分の経験や書籍などから学ぶでしょうか。

答えはNoで大部分は人のマネをして、人から学んでいきます。

なぜならその方が圧倒的に効率的だからです。

 

その特徴を踏まえたうえで、真似だけでなく

「多様性も重視すること」「多数と異なる意見を大事にすること」

がより良い結果を生むのに最適であるとする事実も知っておかなければいけません。

 

そのためには集団内でのコミュニケーション(例えば発言の量)は

互いにある程度平等になるようにすること、など

ヒントがいくつも本書に紹介されています。

 

また、そのコミュニケーションの中で興味深いのは

①デジタルメディアの発達はあるが、結局習慣や知識は

直接的な対面のあるグループに影響を受ける

②人との交流では言語ではない反応・ジェスチャーなどが影響を与える

 といった点。

人間も生物である以上は直接的な交流がやはり必要で

新しく出来上がってきたもの(=言語)よりは

過去から使われているもの(=ジェスチャーなど)がより強く

影響を与える、ということは覚えておきたいところです。

 

注意すべきこと

本書で説明されていますが

人の行動について収集したデータの解釈には注意が必要です。

あまりに膨大なデータがあると、全く関係がない要素同士でも

たまたま関連してそうな変化をしただけで

関連があると誤解される場合もあるため

大きなデータであっても、因果関係の証明には慎重になる必要があります。

 

また、収集した個人のデータ利用のプライバシーを考えないといけません。

本書で紹介されている面白い提案としては

パーソナルデータストアというものがあります。

自身の情報を支払うことで、企業や政府から自分にメリットのある

データを手に入れるという考えです。

自分のデータのプライバシーを、自分のわかる範囲できちんと管理できること、

それと同時に企業や政府も十分に情報を得られることは

自分たちにも価値をもたらします。

今後またデータの収集競争はGoogleなどを中心として

加速しそうなので、自分自身のもつデータについて

少し慎重に考えられるようになると良いかもしれません。

 

 

また筆者の前作である「正直シグナル」も読み始めたので

もう少しうまくまとめてまた書き直そうと思います。

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