世界史というよりは貨幣の”多面的”な歴史「貨幣の『新』世界史」

今日は書評です。普段本はkindleか、hontoなどの電子書籍で買っているのですが、経済関連の本を色々買っていたら、hontoからお勧めされたのがこの一冊。

 

 

お金というものを多面的に見る

「歴史的なお金の”流れ”の変遷」 という意味では「お金の流れでわかる世界の歴史」の方が面白いです。

お金の流れでわかる世界の歴史  富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」

  • 作者:大村 大次郎
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: 単行本
 

ただ、”貨幣”という今の生活では当たり前に使われているものを、見直してみる、ということに焦点を当てたのが本書の面白いところでしょうか。精神的なルーツ、行動経済学も含めた心理面でのお金の存在、ソフト(紙幣~ビットコインなど)・ハード (金属の貨幣)な貨幣がどのように成り立ってきたか、宗教とお金、など多方面にわたって貨幣について考察されています。

 

それぞれの項目は筆者の専門家への取材をもとに成り立っており、世界史とは言うものの、前述のように歴史的な変遷をみるよりはエッセイ的で流れが強くない文章となっているため、体系的な理解をするのは難しいです。

 

行動経済学・神経経済学の話のあたりは知っているので比較的スムーズに読めましたが、古代~中世の歴史に関してそこまで詳しくないので本の中盤は正直詳細には読めませんでした。著者が多彩すぎます、、。

 

長い歴史で培われた「お金」の特殊性 

個人的に面白く読むことができたのは”ソフトなマネー”、つまり紙幣などのそもそもは価値がないはずのものがいかにして安定した価値を築いてきたかということ、そして本来何でもないただの紙切れに対して今や脳が特別な反応を示している点です。本書はミルトン・フロードマンの言葉を引用して以下のように延べます。

「緑色の紙切れに価値があるのは、価値があると誰もが信じるからだ。」(本書p.138より引用)

こうして人々が紙幣の価値を信じられるようになるには長い歴史がありました。本書ではフビライ・ハンからベンジャミン・フランクリン、ほぼ現代まで、いかに貨幣の信用とその量の調整が難題だったかを述べています。確かに考えてみれば、政治も安定しない状況で保証も定かでない紙幣を人々が信じることは困難であることがわかります。

 

それが現代では、幼少期からお金がいかに重宝されているかを目の当たりにすることで、もはや価値以上の存在になっています。

 

「投資が利益につながりそうな人の神経細胞の活動は、コカインやモルヒネでハイになっている人のケースと区別がつかない」(本書p.94より引用)

 

お金について考え抜くことで、こうした熱狂を少し引いた視点で眺めるヒントになる一冊かもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)