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現代数理統計学の基礎 4章 問12

標準正規分布に従う確率変数の比を求める問題ですね。

昨日の記事で書いたように、分布関数に立ち戻って考えていきます。

確率変数の和と比(和の分布・畳み込み・比の分布の変数変換)【統計検定1級対策】 – 脳内ライブラリアン

まず、Z=\frac{X}{|Y|}とすると

P(Z\lt z)=P(\frac{X}{|Y|}\lt z)

となります。ここでYの値が正か負かで場合分けをすると

X\lt zY(Y\gt 0), X\lt -zY(Y\lt 0)

よって、zの分布関数はX,Yの確率密度関数をそれぞれf(x), f(y)として

F_Z(z)=\int_{-\infty}^0dy\int_{-\infty}^{-zy} dxf(x)f(y)+\int_0^\infty dy\int_{zy}^\infty dxf(x)f(y)

となります。

ここで、解答でも指摘されているように、正規分布の対称性からこの二つの項は実は等しいことがわかりますので(分からなくてもそのまま計算できますが)1つにまとめると楽です。

F_Z(z)=2\int_0^\infty dy\int_{zy}^\infty dxf(x)f(y)

となります。

あとはこれをzで微分して

f_Z(z)=-2\int_0^\infty yf(zy)f(y)dy

最後に実際の確率密度関数を代入して積分すれば良いので

2\int_0^\infty -yf(zy)f(y)dy=-2\int_0^\infty y\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{(z^2+1)y^2}{2}}\\=[\frac{-2e^{-\frac{(z^2+1)y^2}{2}}}{2\pi(1+z^2)}]_0^\infty\\=\frac{1}{\pi(1+z^2)}

となり、標準正規分布同士の比がコーシー分布に一致することがわかりました。

また\frac{X}{X+Y}=WについてはZの確率密度関数から変数すれば簡単にわかります。

z=\frac{w}{1-w}となるので、dz=\frac{1}{(1-w)^2}dw

よって

f_W(w)=\frac{1}{\pi}\frac{1}{1+(\frac{w}{1-w})^2}\frac{1}{(1-w)^2}\\=\frac{1}{\pi}\frac{1}{(1-w)^2+w^2}

となります。

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