いつの間にか年末の間に脳梗塞の再発予防に対するプラスグレルの効能追加が発表されていました。
記憶を辿ってみると2年前にプラスグレルの試験に関する論文(PRASTRO-Ⅰ)を抄読会で読んだ気がするのですが、確か非劣性も示せていなかったような、、、。
クロピドグレルはCYP2C19多型の影響で不応性の患者さんがいるということで、心血管の分野ではプラスグレルの利点があったようにも思っていたので、脳梗塞でも同じようにならないのは残念だなあとは思っていました。
しかしなぜ効能追加が通ったのでしょう?
脳梗塞というコモンな疾患において、プラスグレルという選択肢が増えたとなれば、これは良く吟味したいところです。ひとまずわかる範囲の情報を見てみようと思います。
目次:
根拠となった臨床試験
適応の根拠となった試験はPRASTRO試験と呼ばれるクロピドグレルとの比較試験となっています。これについては昨年末のプレスリリースでも記載されています。
抗血小板剤プラスグレル塩酸塩の効能追加に係る国内における一部変更承認申請について – プレスリリース – 報道関係者の皆さま – 第一三共株式会社
PRASTRO-Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの三つの試験があるようで大まかには
PRASTRO-Ⅰ → 70歳未満、50kg以上の虚血性脳血管障害を対象にした非劣性試験
PRASTRO-Ⅱ → 70歳以上または50kg以下の虚血性脳血管障害を対象にした安全性試験
PRASTRO-Ⅲ → 再発リスク因子を1つ以上もつ脳梗塞患者を対象にした有効性、安全性試験
となっているようです。
それぞれの試験と結果について簡単に見ていきます。
PRASTRO-Ⅰ試験
まず最初に2019年5月に論文が出されたPRASTRO-Ⅰ試験です。こちらはLancet Neurologyに載っています。
試験デザイン
ランダム化・二重盲検・多施設・非劣性試験です。
最終的には224の病院が参加し、3753名の患者がランダム化を受けました。
Sep 1, 2011- June 12, 2015までで試験が行われました。
3つの試験の中では最大の規模の参加者となっています。
内容をPICOで整理すると
Patient:
20-74歳、50kg以上、脳梗塞発症から1-24週以内
CTまたはMRIで症候性の脳梗塞が特定されている
(Exclusion)
心原性脳梗塞、奇異性脳塞栓、無症候性脳梗塞
他の抗血小板薬が必要、脳出血・SAHの既往またはhigh risk
コントロール不良の高血圧
Intervention:
3.75mg/dayのプラスグレル内服
Control:
75mg/dayのクロピドグレル内服
Outcome:
脳梗塞発症、心筋梗塞発症、その他の血管性疾患による死亡
となっています。
なお、非劣性試験なので非劣性マージンが決められていますが、日本人を対象にしたstudyの結果を元に算出しています。
sarpogrelate vs aspirin のS-ACCESS試験におけるaspirin群の年間のイベント発生率5.4%とクロピドグレルの第3相試験における年間のイベント発生率4%からaspirin相当までのマージンを許容として、5.4/4=1.35となっています。
同様にクロピドグレルの第3相試験を元に検出力80%を想定してサンプルサイズは3600名と見積もっています。
試験の結果
プラスグレル群 1885名
クロピドグレル群 1862名
にそれぞれランダム化されました。
年齢と体重のinclusionがあるので一応baseline characteristicsを見ておくと
年齢の平均(SD)は61.9歳(8.7)/62.4歳(8.4)(プラスグレル群/クロピドグレル群)
体重の平均は65.8kg(10.5)/65.4kg(9.7)
でした。
普段自分が臨床で脳梗塞を見ている印象としては、臨床的にみる層よりは若いなというイメージでした。
他に気になった点としてはtype of strokeにおいて
Stroke of undetermined aetiology 38%/36%
と比較的割合が大きい点です。果たして好血小板薬の違いに効果が出るのか疑問となります。
また、途中脱落がどれくらいあったかですが
プラスグレル群 287/1885名(15.2%)
クロピドグレル群 311/1862名(16.7%)
でした。
内訳は副作用によるものが最も多かったようです。
さて、Primary endpointですが
プラスグレル群 3.9%(イベント数73/死亡1, 95%CI 3.0-4.8)
vs
クロピドグレル群 3.7%(イベント数69/死亡0, 95%CI 2.9-4.7)
リスク比 1.05(95%CI 0.76-1.44)
となりました。信頼区間の上端が非劣性マージン1.35を超えているため非劣性は示せなかったということになります。
また、secondary endpointとしてイベントの内訳が示されています。
最も重要な虚血性脳卒中は
プラスグレル群 3.7%(イベント数69/死亡1, 95%CI 2.9-4.6)
vs
クロピドグレル群 3.4%(イベント数64/死亡0, 95%CI 2.7-4.4)
リスク比 1.07(95%CI 0.76-1.49)
となっていました。
基本的にイベントは脳梗塞が大部分を占めていたようです。
またサブグループ解析でCYP2C19多型による違いや脳梗塞の病型による違いも分析されていますが、有意差が生じるほどの大きな違いはありませんでした。強いて言えばlarge artery atherosclerosisやsmall artery occlusionがややプラスグレル優位な結果となっています。
別で2020年にもサブグループ解析のみの論文が出されています。
サンプルサイズは十分であったのでUndetermeined etiologyが多かったことが原因で差が出にくかったと言われればそうなのかもしれません。
PRASTRO-Ⅱ試験
こちらはCerebrovascular diaseaseというjournalにopen accessで載っていました。リンクは以下です。
PRASTRO-Ⅰでは分からなかった70歳以上、50kg未満の患者さんについての安全性を検討することが目的となっている試験のようです。
試験デザイン
ランダム化・二重盲検・多施設・安全性の有意差をみる試験デザインのようです。
654名の参加者が集められました。
Sep 2012-Oct 2014まで行われています。
なお、1:1:1割付けの試験デザインとなっています。
PICOに沿ってこちらも整理しますと
Patient:
75歳以上または50kg以下
4週間以上前に非心原性脳梗塞既往のある患者
(Exclusion)
心原性脳梗塞、奇異性脳塞栓、無症候性脳梗塞
他の抗血小板薬が必要、脳出血・SAHの既往またはhigh risk
コントロール不良の高血圧、体重40kg未満
Intervention:
3.75mg/dayのプラスグレル内服
2.5mg/dayのプラスグレル内服
Control:
50mg/dayのクロピドグレル内服
(通常量の75mgではない点に注意、高齢または体重が軽いためと思われます)
Outcome:
出血性イベントを合わせた複合エンドポイント
(life-threatening bleeding, major bleeding, other clinically relevant bleeding)
各参加者は48週以上はフォローアップされています。
サンプルサイズはprimary safety events(上述した出血イベント)の発症を1.5%以上と想定して、600名としたと書いてあります。研究の目的に沿うように、有効性ではなくsafety eventsに焦点を当てたサンプルサイズです。
試験結果
さて、まず参加者の人数ですが
プラスグレル3.75mg群 216名
プラスグレル2.5mg群 215名
クロピドグレル50mg群 223名
となりました。
参加者の特徴としては平均の年齢(SD)がそれぞれ
76.1(7.6), 76.7(7.0), 76.4(7.3)
体重は
55.0(8.9), 55.9(9.1), 56.0 (9.7)
となっています。
比較的普段見る臨床像に近いように思われます。
このデータを見てもわかるように、体重は50kg以上の人も多く、それぞれのグループの内訳として
75歳以上、50kg以上が約6割
75歳未満、50kg以下が約2割強
75歳以上、50kg以下が約2割弱
となっていました。
なお、脳梗塞の病型については前回試験と同様、stroke of undetermined etiologyが約3割を占めています。
また途中脱落については
プラスグレル3.75mg群 27/216名 12.5%
プラスグレル2.5mg群 34/215名 15.8%
クロピドグレル50mg群 37/223名 16.6%
となっていました。
いずれも最も多い理由は副作用でした。
脱落データは本文になくsupplementary figure2Aに載っています。
続いてprimary endpointのincidenceですが
プラスグレル3.75mg群 4.2%(イベント数9, 95%CI 1.9-7.8)
vs
プラスグレル2.5mg群 1.9%(イベント数4, 95%CI 0.5-4.7)
vs
クロピドグレル50mg群 3.6%(イベント数8, 95%CI 1.6-6.9)
ハザード比は
プラスグレル3.75mg群が1.13(95%CI 0.44-2.93)
プラスグレル2.5mg群が0.51(95%CI 0.15-1.69)
となりました。
絶対数としてはプラスグレル2.5mgが少ない印象です。イベント数自体が少ないので明確な差が出るほどではありません。
また、secondary endpointとして治療中止につながるような出血と全ての出血性イベントが
プラスグレル3.75mg群 5例, 69例
vs
プラスグレル2.5mg群 2例, 53例
vs
クロピドグレル50mg群 5例, 52例
となっています。こちらは全ての出血性イベントにおいてプラスグレル3.75mg群が少し多いですね。2.5mg群がどちらも少ない印象なのはprimaryと同様です。
なお、体重と年齢のグループごとに分けられたイベント数・発症率もsupplementary materialに載っていますが、そもそもイベント数が少ないので目立った差はありませんでした。
さて、ここで有効性も同時に載せられています。
これはPRASTRO-Ⅰと同じで、脳梗塞、心筋梗塞、他の血管イベントによる死亡を見た複合エンドポイントです。結果としてincidenceは以下のようでした。
プラスグレル3.75mg群 0%(イベント数0, 95%CI 0.0-1.7)
vs
プラスグレル2.5mg群 3.3%(イベント数7, 95%CI 1.3-6.6)
vs
クロピドグレル50mg群 3.6%(イベント数8, 95%CI 1.6-6.9)
ハザード比は
プラスグレル3.75mg群が0(95%CI 算出不可)
プラスグレル2.5mg群が0.90(95%CI 0.32-2.47)
となりました。
おそらくここでプラスグレル3.75mg群がイベント数0であった、というのが有効性に関してプッシュされるポイントだったのではないかと思われますが、試験の参加者が654名とPRASTRO-Ⅰに比べて少なく、さらに3群割付けのため実質的な人数はさらに少ないことに注意しなければいけません。あくまでsafety event検証のために組まれたサンプルサイズであり、イベントの検出ができていない可能性が十分あるわけです。
PRASTRO-Ⅲ試験
さて、最後の試験は有効性と安全性を確認するための試験ということですが、234名となぜか少数となっています。
そして論文化されたものあるいは試験データの詳細が見つけられませんでしたが、どなたかもしわかる方がいたら教えて頂きたいです・・・。
PMDAの添付文書に少しだけ情報が載っていますので、それを参考にして書きます。
エフィエント錠2.5mg/エフィエント錠3.75mg/エフィエント錠5mg/エフィエントOD錠20mg
試験デザイン
添付文書による情報によればPICOは以下の通りと考えられます。
国内第3相二重盲検試験で
P:高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病の合併、脳梗塞既往
TOAST分類で大血管アテローム硬化、小血管閉塞のいずれかに該当
I:プラスグレル 3.75mg
C: クロピドグレル 75mg
O: 脳梗塞、心筋梗塞及びその他の血管死の複合エンドポイント
となっています。
つまり、過去の二つの試験で結果がありそうだった、アテローム・ラクナの機序に絞って再度試験を行ったというわけですね。
試験結果
48週後のイベント発症率が
プラスグレル群 6.8%(8/118名)
vs
クロピドグレル群 7.1%(8/112名)
リスク比 0.949(95%CI 0.369-2.443)
だったようです。
さらに添付文書にはサンプルサイズと結果の解釈に関して
注22) 本試験の主たる目的はクロピドグレル群に対するプラスグレル群のリスク比の点推定値が1を下回ることの確認。目標症例数は、国内第Ⅲ相試験(虚血性脳血管障害患者)の結果等から投与開始後48週間以内のクロピドグレル群での脳心血管系イベント発現率を4%と見積もり、クロピドグレル群に対するプラスグレル群の真のリスク比を0.4~0.8と想定したとき、110例/群での当該リスク比の点推定値が1未満となる確率は81.2%~55.9%となることから250例(125例/群)と設定。(添付文書より引用)
との記載。
これってどういうことなんでしょうか。クロピドグレルのイベント率は他の試験からの見積もり、プラスグレル群の真のリスク比も仮定による見積もりで設定されたサンプルサイズにおいて1を切ったからといって何になるのかがイマイチわからないのですが、、、。統計的な意味合いがうまくわかる方がいらっしゃったらご助言頂けると幸いです。
(追記2022.10.04)
コメント欄で論文化されていたとのご報告をいただいたので追記します。
さてPICOについては概ね上記に記載させていただいた通りですが、supplemental methods(本文下部)のサンプルサイズ計算をみると、この試験はリスク比の推定量が1を下回ることを目標とし、本試験の対象者に合致するphase 2のデータ(unpublished dataと書いてありますが、、、)をもとに計算されたようです。
結局のところ、なぜかリスク比が1を下回るかどうかで有効性を判定しようとしているようです。このような判断の仕方は、例えば心不全におけるエンレストの国内第3相試験(PARALLEL-HF試験)でも見られています。
以下の情報検索で“エンレスト”と入力し、結果の右端にある審査報告書をみると、承認に関わるpivotal studyが見られるので概要がわかります。
医療用医薬品 添付文書等情報検索 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
2020年の審査報告書7.3.2、p59に記載されていますが、こちらも有効性評価の指標をリスク比が1を下回ること、としています。
ただ、エンレストについては海外第3相試験(PARADIGM-HF試験)の結果を受けて、国内でもある程度同じ傾向があるかどうか確認するための試験なのでまだわかる(といっても結局リスク比1を下回っていないのに承認されています、、、)のですが、今回のプラスグレルの場合は異なります。
上記のようにそもそも有効性を示せておらず、サブグループ解析の結果のみを根拠としているからです。これは明らかに無理があるのではないでしょうか。
全体を通して
PRASTROⅠ~Ⅲの試験についてざっと振り返ってみます。
そもそも有効性も非劣性も十分に示せていない?
行われたのはPRASTRO-Ⅰ(非劣性試験)、PRASTRO-Ⅱ(安全性をendpointにした試験)、PRASTRO-Ⅲ(有効性と安全性の確認の試験?詳細不明)です。
PRASTRO-Ⅰでは非劣性が示せませんでした。クロピドグレルを対照にアスピリンの再発率を考慮して設定した非劣性マージンでしたので、まずこの試験でわかったのは「アスピリンより良いかどうかはわからない」ということです。また対象とされる母集団が75歳未満、50kg以上という限定付きでもあります。
続いてのPRASTRO-Ⅱではイベント発症率が0でしたが、サンプルサイズが216名とPRASTRO-Ⅰにおける1885名より圧倒的に少ないです。サンプルサイズがさらに少ない118名であったPRASTRO-Ⅲではイベントが起きていたことを考えると、何らかの違いがありそうです。対象とされる母集団が75歳以上または50kg未満とPRASTRO-Ⅰ, PRASTRO-Ⅲとはそれぞれ異なり、またundetermined etiologyが3割含まれている点がPRASTRO-Ⅲとは異なりますので、その中でプラスグレルがすごく有効な層があったのかもしれません。もちろんサンプルサイズが小さいが故の偶然という可能性もあります。
さらに、ここで効果に着目するのであれば、クロピドグレルが全例50mgとなっており、比較対象として適切かどうかも考えなければいけません。『脳卒中治療ガイドライン2021』において、クロピドグレルの通常推奨される用量は75mgです。添付文書上は体重、年齢などにより減量可能とは書いてありますが、その治療成績などは十分に吟味されていません。
最後のPRASTRO-Ⅲは詳細が分からないので評価に困りますが、少なくともサンプルサイズは小さく、イベント発症率も大きく差がついているわけではないようです。
以上からわかる事として、少なくとも非劣性や明確な有効性は示せていないのではないでしょうか。PRASTRO-Ⅰでアテローム・ラクナでのサブグループ解析がそれなりに良さそうな結果であること、PRASTRO-Ⅱでのイベント発症がないことは注目する点だと思いますが、年齢や体重なども考慮せずに脳梗塞全体に適応を広げる意味がよくわかりません。機序ありきになっていないでしょうか。
出血性合併症について
また、今後の動向で注意が必要なのは出血性合併症です。欧米では基本的にプラスグレルがTIA/脳卒中既往に対して禁忌となっています。(2022.1.11時点up to date参照)
なぜかと思って調べたらTRITON TIMI 38試験という急性冠症候群に対するクロピドグレルvsプラスグレルの試験が根拠のようです。
Prasugrel versus Clopidogrel in Patients with Acute Coronary Syndromes
この試験ではサブグループ解析において脳卒中/TIA既往のある群で有意に有害事象が多かった(もちろん脳出血を含む)ことから禁忌となっているようです。
ただ、この試験はアスピリン75-162mg+クロピドグレル75mg or アスピリン75-162mg+プラスグレル10mgとなっていますので、今回の試験とは用量も併用薬も異なることに注意が必要です。PRASTRO-Ⅱにおいてもプラスグレル3.75mg群では出血性合併症が絶対数としては気になるところで、いずれも1年程度のフォローアップ期間となっていますから、今後使用されるのであればどの程度出血があるのかさらに追跡が必要でしょう。
実際の使い道を考える
以上の結果を受けてどういう層に対して使うかですが、そもそも非劣性を明確に示せていない時点で第一選択として使うものではないように思います。実際の効果やメリットがわからないわけなので、まずはクロピドグレルやアスピリンを使うのが妥当ではないでしょうか。
アスピリンが何らかの理由でどうしても飲めなくて、クロピドグレル内服していても梗塞を繰り返す人に使うのはありかもしれませんが、出血性合併症については注意を払わないといけないと思いますので、メリット・デメリット考えると難しいところではないかと思います。
個人的な意見としてはどうも有効であろうという仮定ありきで試験が進められて適応追加になっている印象があり、正直患者さんに使いたいとは思わないのですが、、、どうでしょうか。PRASTRO-Ⅲ試験について詳しく知っていらっしゃる方がいれば、その意義についてご教示願いたいと思います。
いつも興味深くHPを拝見しています。
先生と同じ市中病院勤務の脳神経内科医です。
プラスグレルの有効性安全性など調べて本記事に行き着きました。
本記事投稿後にPRASTRO-IIIが発表されており読んでみました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jat/advpub/0/advpub_63473/_article
ATBIとラクナの患者を対象にしたクロピドグレルとの多施設共同ランダム化二重盲検比較試験
ではありますが結果は有効性も非劣勢も示せていないように見えます。
本文中にはcomparable efficacyが示されているとありますが・・・
先生のお考えを教えていただければ幸いです。
>neuro0619さん
いつもご覧いただいているとのことで大変ありがとうございます。
論文を読ませて頂いて、上記記事内にも追記させていただきました。
率直に言えばcomparable efficacyがとても示せているようには見えません。
リスク比が1を下回るという方法は統計的に確立された方法には見えず、国外の試験結果をもとに国内で確認する場合に用いられているようですが、今回はそもそもの大規模な試験で結果を示せておらず、本来ならばサブグループで有効であった層に対して非劣性(或いは優越性)を十分に示せるようなサンプルサイズを行うべき試験なのではないでしょうか。信頼区間をみてもその幅の広さに驚かされます。もちろん日本での試験でサンプルが集めにくい、資金の問題はあるのだろうとは思います。
薬価のせいかアデュカヌマブやエンシトレルビルの緊急承認ほど全く注目されてないですが、脳梗塞はコモンな疾患であり、海外での出血性副作用によって禁忌になっていることを考えると、この承認は結構問題なのではないかと個人的に思っています。幸い周りでもあまり積極的に使っているとの声は聞きませんが、、、。
早速のお返事と記事更新ありがとうございます。
本論文内で考えられている”有効性”やその意義、先生の解釈が聞くことができて勉強になりました。
この3つの論文をもって本薬剤の有効性が証明されたと解釈され承認に至っているのでなかなかの闇を感じますね。
先生のブログとTwitter、Youtubeの更新を引き続き楽しみにしております。
同じユーザー名だと思いましたがtwitterでもお見かけしてますね。
YouTubeまでみていただいているようで大変恐縮です。時間を取るのに難航していて時間がかかっていますが、そろそろ更新できるとは思いますのでまたみていただけますと嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。