今日はESUSの続きについて。
再発予防の話です。
参考にされる代表的なstudyとしてはまずWARSS試験(N Engl J Med 2001; 345:1444-1451)があると思います。
2001年のstudyで非心原性脳梗塞の2206例に対し、ワーファリン(PT-INR1.4~2.8になるよう調節)とアスピリン(325mg/day)の2群に分け、脳梗塞の再発+死亡をprimary outcomeとして二重盲検ランダム化比較した試験です。
結果としてはwarfarin群196例(17.8%),aspirin群176例(16.0%)で有意差はなし。
出血性合併症の副作用も有意差はありませんでした。
ESUSの概念が確立される前の試験であり非心原性脳梗塞とくくりが大きいため、ESUSに関しての予防を考えるには少し対象がずれますが、少なくともこれだけ大まかなくくりでいっても抗凝固薬で悪いことはない、といえるかもしれません。
これに対し、きちんとESUSの概念に則ったstudyが
今年出されたNAVIGATE-ESUS試験(N Engl J Med 2018; 378:2191-2201)です。
初回で紹介したESUSの定義に当てはまる患者7213名(ただし50歳以上)を対象に
リバロキサバン群(15mg/day)とアスピリン群(100mg/day)に分け、脳梗塞の再発および塞栓性の合併症をprimary outcomeとして二重盲検ランダム化比較した試験です。
病態からはDOACなど抗凝固が有効な可能性が高く、結果が期待されたstudyでしたが
なんと有効性は有意差がつかず、リバロキサバン群で副作用の出血が多くなってきたため途中で中止となりました。
結果としては脳梗塞年間再発率がリバロキサバン群 5.1% vs アスピリン群 4.8%で有意差はなく副作用としての出血性疾患が1.8% vs 0.7%(有意差あり)という結果となりました。Discussionとしてリバロキサバンの用量が~という話も書いてあったりしましたが思いのほかうまくいかなかったようで残念ではあります。
現在はさらにRESPECT-ESUS試験というDabigatran vs aspirinの試験もあるので
今後にはまだ期待でしょうか。
というわけで再発予防薬に関してはESUSという概念全体に対して有効とされたものがなく個々の機序を考えながら薬剤の選択をしていく必要がありそうです。
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