仕事帰りは腹が減っていて、かつ帰ると子どものこともあって落ち着いて食べられないので、ついつい帰り際にお菓子など買ってしまうことがあります。
先日ドラッグストアでこんなものを見つけました。
「食塩不使用 湖池屋 プライドポテト」
ポテトチップスなのに食塩不使用!これは攻めてますね。
裏面も見てみると確かに原材料相当の食塩しか含まれてません。
さて、実際食べてみましたが、当然ながら塩味は一切せず。
じゃが芋の甘味だけが感じられる一品でした。
味付けのない自然派な野菜チップスとかオーガニック食品の店でたまに売ってますけども、そんな感じのイメージですね。油分はしっかりあって、揚がった食感は普通のポテチと同様です。
こういうチャレンジ精神のあるお菓子はなかなか好きです。
ただイロモノとしてではなく、もっと一般的なものとして普及したら良いのにな、と下記の食塩事情に思いを馳せながら思いました。
結構なんでも含まれている食塩
脳梗塞の患者さんを多くみていると慢性疾患として高血圧がある方は多く見受けられます。降圧薬とともに減塩するよう栄養指導も入れるのですが、普段の身の回りの調味料や外食における塩分量を考えるとどう考えても厚生労働省による食事摂取基準*1である6gを満たすのは難しいですね。
上述のポテチはカルビーのもの*2などみてみると、0.5g~1g程度。それを食べるだけで1日目安の約1/6を使ってしまうと考えると、食べた瞬間あとがありません。
身の回りの調味料(鶏ガラ、コンソメ、だしパック)なども意外と塩分含んでます。だしパックなんか個人的にはそんな塩分がなくて出汁になるものだけだろうと思ってましたが、種類によっては結構入ってるものもあるんですね。驚きました。
食事摂取基準の作成に参加している予防疫学分野の教授の著書によれば、日本人の食塩の摂取源となっている食べ物の順位は以下のようです。*3
1位 しょうゆ
2位 食塩
3位 その他の調味料
4位 みそ
5位 魚介類
・・・
ほぼ調味料ということですね。調味料ということは加工する段階で入るので、外食などではなかなか減らすのも難しいですね。冷凍などの加工食品もいつも味が濃いのが気になってしょうがないですが、この辺も減らしていくのが難しいです。
患者さんの立場になってみると、この環境下で6g未満を目指すのはなかなか至難の業な気がします。
イギリスの例
これも同書に含まれている話なのですがイギリスは2000年代から大手パンメーカーが結託し、徐々に含有している食塩を減らしていくようにしていたようです。*3少しずつであると人間気づかないようなので(これも実証実験あり)、他の食品類も同様に減らした結果、食塩摂取量を約15%減らすことができたようです。
多くのご家庭で自炊だけでなく、外食や加工食品にも頼らざるを得ないと思うので、もうちょっとメーカー共同で動いてくれたら良いのに、、と日々脳梗塞の方に減塩の話をするたび思います。
まあもちろん減塩だけで高血圧や血管疾患の全てが良くなるほど単純な話じゃないですけどね。
投資家や購買者の皆さんは減塩に積極的な企業に協力をお勧めしたいです。できたら国に動いて大きく欲しいですけどね。
参考文献:
*1厚生労働省の食事摂取基準
*2カルビーの栄養成分一覧
https://www.calbee.co.jp/soudanshitsu/faq/data/calbee_nutrition.pdf
*3『データ栄養学のすすめ』
一般向けの本ですが、栄養に関する研究データが小噺とともにまとめられていて大変勉強になりました。慢性疾患に関わる医師は是非一度読んでみて欲しいです。
紹介した話の元文献はこっち
Asakura, K., Uechi, K., Masayasu, S., & Sasaki, S. (2016). Sodium sources in the Japanese diet: Difference between generations and sexes. Public Health Nutrition,19(11), 2011-2023. doi:10.1017/S1368980015003249
コメントを残す