引き続きメタアナリシスの読み方です。
よく使われるフォレストプロットの見方・結果の解釈について書きます。
以前に論文データのブログでの引用と著作権の問題について書きました。”引用”なら可能なのですが、この記事で果たして良いのか微妙なところに思えてくるので、今回は自分で描いた適当な図を載せてみます。
こちらが適当に描いた”メタアナリシスっぽい”図です。あるていどそれっぽくしてますが数値は適当です。
このような図は結構よくあるんじゃないかなと思います。参考にしてどこをどうみるか見ていきます。
前回までの記事はこちら
ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- – 脳内ライブラリアン
ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方② -バイアスリスクについて(risk of bias)- – 脳内ライブラリアン
ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方③ -effect size, standard mean differenceについて/固定効果モデルとランダム効果モデル- – 脳内ライブラリアン
(2020.10.04追記)
より詳細なメタアナリシスの記事を追加しました
メタアナリシスについてより詳しく学ぶ①-fixed effects model, random effects modelと異質性
フォレストプロットの意味
まず、一番右の■と◆が並んだ図(赤線で囲んだ部分)。これをフォレストプロット(forest plot)と言います。サブグループ解析なんかでも使われるのでランダム化比較試験などでも見るかもしれません。
見方ですが、今回はオッズ比(odds ratio)を各研究の結果として統合したメタアナリシスという前提にしています。ちなみに他に各研究結果の指標としてハザード比(hazard ratio)、ARR(絶対リスク減少率)などが使われることがあります。
点線の真ん中がodds ratio 1(つまりコントロール群、介入群の差がない)としています。矢印が示す通り右側に結果が寄っていればコントロール群が優位で左側に結果が寄っていれば介入群が優位です。
各研究の結果の値は■の中央の位置が示します。横に伸びる線は95%信頼区間です。そして結果を統合したものが一番下の◆です。これも中央の位置が結果の値を示し、ひし形全体が95%信頼区間を示します。
ここでよく見ると、■の大きさがそれぞれ異なるのが分かります。■の面積は研究毎の重みづけの大きさ(weight)を示します。研究の規模が大きければ当然結果を統合する際に数値への影響が大きくなるので(前回記事参照)■が大きいものに結果は引っ張られます。
また、各研究のodds ratio、weightの具体的な数値は左の表をみると分かります。
それぞれのオッズ比と信頼区間、weightがありますね。下にある”total for overall effect”は全てを統合した結果とその有意差をみています。このメタアナリシスではひし形の端が点線に引っかかっていることからわかるように有意差(p<0.05)はなかったようです。
フォレストプロットの見方
数値さえ見られれば、フォレストプロットいらないんじゃないの、という気もするのですが、図は全体を俯瞰するのに役立ちます。ここでいくつかのフォレストプロットを比較してみてみます。
次のA、B、Cの図を比べた時にぱっと見で一番信頼がおけそうなメタアナリシスの結果はどれでしょうか。
(JAMA Users’ Guides to the Medical Literature 3rd editionより引用)
まずCは最終的な結果の有意差がなく、AとBはいずれも結果に有意差が出ていることが分かります。
ただAの図は■の面積がいずれも小さく(つまり小規模研究)、結果のばらつきが左右に大きいことが分かります。結果的に統合されたものは有意となっていそうですが、これだけばらつきが大きいと信頼性は下がります。
それに対してBはどうかというと■の面積が大きい研究もあり、かつ結果は全体に似た傾向をもち、左に寄っていることが分かります。とすると、Bの方が結果に信頼性がありそうです。
このようにぱっと見でどの程度の結果の信頼性があるかが視覚的に解釈しやすいのがプロットの良いところです。
次回は最初の図の下の方に書いてある”heterogeneity(異質性)”について書きます。
(2021.06.28追記 医学論文の読み方関係の記事はこちらにまとめました)
参考文献:
邦訳版はこちら↓
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