本日も医療関連のTEDを紹介。
気になった単語と解説
add up to 合計~となる
had not been fully exploited 完全に利用されていなかった
incentivize ~を動機づける
you have a not-insignificant chance to be subjected to a surgical intervention
無視できない確率で外科的治療を受ける可能性がある
reimburses practitioners for keeping their customers healthy
顧客を健康に保つことに対して実行者に償還する
“exploited”はコーパスでみてみると結構ネガティブな表現も多いようですね。poor, sexually, childrenなどが共起表現として並びます。exploited childrenで名詞では「搾取された子ども」が最多です。ただ今回のように必ずしも悪い意味だけでなく、可能性があるものを使う、といった普通の意味合いもあるようです。
“incentivize”はcompany, people, taxなどが共起表現として出てきます。比較的社会的な広い人を指す表現として使われていそうです。例文をみるとincentivize people to go out and find workのようにto不定詞を伴って「~に~させるよう動機づける」といった使い方がされます。
“not-insignificant”は二重否定的で、ぱっと聞いた時にはややこしいですが、significantが「有意な」と言う意味でよく使われるので要するに「有意でないことのない」=「有意な」ということですね。字幕では「無視できない」と訳されており、これがしっくりくる気がします。to be subjected toは「~の下に入れられる」ということなので、「~を受ける」と訳して良いように思います。
“reimburse”は償還する、返済するなどの意味をもつ動詞です。forと組み合わせて、reimburse one for ~で、「~を・・・に返済する」となります。これの受動態はコーパスをみると結構使われているようです。
コーパスってなんやねんと言う人はこちらをどうぞ
主に普段はCOCAを使ってます
論文の英語表現をコーパスを使って磨く方法 – 脳内ライブラリアン
感想
sick-care→health careというのは非常に同意したいです。毎日毎日脳梗塞の患者さんを見ていると「健診でもっと早くきちんとした予防策をしてたらなあ…」と思うことは多々あります。
この辺は「life span」を読んでもそう思いました。
実際現在の技術をもってすればかなりのことが予防出来ることも確かです。ただ問題なのは「誰がどのように実行するか」と「結果の判断に時間がかかる」点ですね。
企業など主体でこの辺のサービスが進むとなると健康における経済格差が広がっていくんでしょう。アメリカの研究で社会因子と脳梗塞の関連などの話も時々みますが、貧困層の食生活の問題など既に経済格差による疾病の違いは出てきているように思います。
一部のお金のある層のみが遺伝子検査やこまめなヘルスチェックを受けてより健康になり、金銭的な問題で生活習慣を変えられない人々が疾病を起こしやすくなるのもどうかなと思います。
大規模に全体に実行しようと思うと政府主体になるのでしょうが、大まかな方向性(例えば高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙は対処すべきとか)はわかっていても、若い年齢だとどの程度まで制限するかが明確でないので難しく、まして遺伝子診断なんかは知る権利知らない権利など諸々踏まえると踏み込みにくいですよね。
国が個人の健康データを管理するというのも、管理国家的な面が強くなり過ぎて不安を誘います。
以前ビッグデータ関連の本で「今の時代に極度に中央集権的な国家があって、個人の健康データを管理して生活習慣も強制できるとしたら、短期間で強力な医療技術や医療情報を得ることができるでしょう」と言った趣旨の話をみた気がするのですが、そうなるとオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』ばりの管理社会ディストピアまっしぐらです。
そうなると平和的なのはこの講演の締めくくりのように個人の意志だと思いますが、果たして外部からの圧力なくそれが可能かどうかですね。
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