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中級者以降向けの英語学習法の本をまとめてみる

英語学習は多くの人にとって興味のある話題だと思います。ビジネスやアカデミアなどニーズが広く深いため、「最短」「1日○分」「誰でもできる」などのキーワードを散りばめた英語学習本が次々と出版されています。

言語学習に興味を持って大学生の頃から本を色々と買い漁っているのですが、まるで自分の役には立たない本もこれまで沢山買ってきました(汗

そこで、英語学習の本をどう選ぶかについて考えつつ、今まで読んだ本を紹介していこうと思います。

本の選び方についての御託が結構長くなってしまったので、そんな話はいいからとっとと本の感想を見せろよ、という人は目次から本のタイトルへ飛んでください笑

また新しく買い次第随時更新予定です。(2023.03.)

まず英語を学ぶ自分の目的を考える

大学時代によくあったのは「なんとなく英語が役立ちそうだから勉強しておく」「とりあえずTOEIC,TOEFLなどの試験を受けてみる」などこれといった目的なく英語の勉強をしてみることでした。

それで後々ある程度役に立つこともあるかもしれませんが、目的がないと「何をどの程度まで学習するか」の方向性がまるで定まらないので、モチベーションや割くべき時間や勉強方法がはっきりとしません。

英語の学習方法について書いた本を選ぶときも同様です。英語学習の本と言っても対象者は様々です。

・ビジネスとして海外の会社と会話はメールでやり取りするのが必要な人
・海外で生活するための日常会話が必要な人
・論文の執筆や国際学会での発表などで英語を使う人(多分自分はこれ)

などそれぞれで必要とされる学習の方法と深度は全く異なります。まずは自分の英語学習の目的、言語を使用するシチュエーションをしっかりとイメージすることが初めに必要と言えます。

果たして目的にあった本は存在するのか?

書店で平積みにされているようなウケの良い本は、基本的に初心者向けでより広い読者層に向けたものが多いです。読者の引きを狙ったタイトルも多いため「簡単」「楽に」「短時間で」といった言葉が押し出されがちです。日常生活においてはある程度そういった手法でもなんとかなる部分はありますが「論文を書く」「ビジネスで通用する文書を書く」「あるテーマについてディスカッション」と言ったフォーマルかつ論理的に難しい表現になればなるほど、言葉への深い理解が必要となってきます。母語ですらそう言った作業には多大な負荷がかかることを考えてもらえば当然かとは思います。

このレベルを求めようとすると、初心者向けの本で解説されるような簡単な方法の繰り返しや単純なフレーズの暗記ではどうしても埒があかなくなってきます。「英語の文章の大部分は一部の頻出単語で成り立っているのでそれを抑えればOK」と解説する本もありますが、頻出単語の使い方に精通するのは間違いなく重要なんですけれども、残る一部の難しい単語というのが読む・聞く・書く・話すときに意外と障害になって進まないわけです。

その障害を越えようとする段階は日本で言うなら概ね中級者と言って良いのかと思いますが、この中級者向けに学習方法を指南してくれる本というのは初心者向けのものに比べると圧倒的に減ってきます。

というのも初心者に比べれば全体としてニーズは少なくなってくるというのもありますし、専門的で難解な用語を挙げだすとキリがないので、分野ごとに細分化する必要があり、そうなると書き手も需要も少なくなってきてしまうからです。

では自分の細かなニーズにあった勉強法を見つけるにはどうしたら良いのでしょうか。

論理的に納得でき、自学自習を進めてくれる本を探す

中級者以上の話となると、上記のような理由で自分の考えていることや話したいことにピッタリ合う表現を常に与えてくれるような本は存在しません。そうなると、重要になってくるのは難解な表現であっても自分でそれを意識的に学び、使えるようになる方法論を論理的に教えてくれる本です。

ニーズにあった言葉の使い方を全て教えてくれるような本が存在しない以上、その言葉やフレーズがどのような場面でどのようなニュアンスをもって使われるのか自分で分析する方法や、それをどう記憶し使えるようにしていくかを教えてくれる本が必要となります。

こうした分析や言語使用の方法論については言語学に精通する著者が書いた本が特に得意としていることが多く、非常に参考になります。言語の見方が変わることで、同じ文章を読んでいても言葉の使い方について得られる情報が増えるため、漫然とただ多読や単語・フレーズの学習を繰り返すよりも刺激が多くて楽しく、深く勉強することができます。

あるいは、言語学の専門家でなくても、通訳や言語学習を深めている人であれば経験的にいかにその言語を捉えて、自分のものに落とし込むかのプロセスをうまく自覚してやっている方もたくさんいるので、そういった人の経験談も参考になります。ただ内面的なプロセスがなく、表面的な方法論のみを語っている本(例えば、とにかく多読・多聴すれば“自然と身に付きます“みたいな説明しかない)だと同じ方法をとっていてもうまく学習できない場合があるので注意です。

そのため、こうした本を選ぶときの参考にしたいのは①筆者が示す内面的な学習プロセスを追体験してみたときに納得しうるものか、②継続的にその方法で学ぶ気になれるか、という点です。

まず筆者が示す内面的な言語学習のプロセスというのは、多くの場合、自分の言語学習あるいは言語使用の経験に照らし合わせてみることが可能です。例えば、以前に記事でオススメした『英語独習法』(今井むつみ著)では英単語の知識というのは単にその和訳だけでなく、スキーマと言われる表面下の知識が必要である、という内容が語られています。具体的には「単語が使われる構文」や「共起語」「頻度」「文脈(フォーマリティ)」「意味の広がり」「属する概念の意味ネットワーク」などです。確かに日本語で考えてみた時に、よく使う単語であればこれらの知識が実は十分蓄えられていることがわかります。この本ではこれらの表面下の知識をきちんと学ぶことが、使える単語を増やすような英語学習には重要ですよ、と教えてくれていますが、自身の言語知識を改めて省みることで納得することができます。少なくとも間違った前提は置いていないことが納得できるわけです。

続いて重要になるのは、プロセスは正しいとしても実際に実行可能かどうかという点です。個人の目的や確保できる時間、モチベーションによって提案されている方法が実行できるかは異なります。この点に至っては正直いってトライ&エラーを続けるしかないと思っています。その都度学習方法を見直しながら合う方法を問い続けるしかないのではないでしょうか。

なので、自分の言語経験的に納得しうる論理的なプロセスを提案してくれる本をたくさんみて参考にし、自身の目的や好みに合う方法を取捨選択していくというのが最良ではないかと思っています。

ただし、学習の方法論において“科学的”であることを強調し、万人に効果的であるかのような雰囲気を醸し出す情報については、盲目的に従わないよう注意が必要だと思っています。言語学習や教育といった分野は外的要因(例えば英語の授業での効果をみようとしてもそれ以外に校外でも学習するだろうし、他にも他の教室や個人での習い事など多くの影響を受けうる)や内的要因(どのような過程を経た、どんな人なのか。成人が同じ介入を受けるにしても、高校時代から英語を全く勉強していないビジネスマンと、論文の英語は読むけどそれ以外は何もしていない医者などでは効果が異なる)が大きい点、そしてそれらが相互作用しうることを含めると万人に効果が期待できるエビデンスを生み出すことは困難と言えるでしょう。また、長期にわたる追跡、効果の指標の曖昧さなども挙げられます。

例えば、言語学習の記事や本にはエビングハウスの忘却曲線がやたらと引用されますが、これにやたらと合わせて勉強しようとするのは、単なる一つの実験結果を過度に一般化していると言えます(もちろんこのことを信じ切ることで覚え易くなる良い効果があるのかもしれませんが)。

そのため、心理学・教育学などで実験的に得られた結果を引用することは有用であると思いますが、その背景で動くメカニズムや言語を教えた経験と組み合わせ、さらに自分の経験とも合わせてどうかを判断するのが一番だと思っています。

大変御託が長くなりましたが、そんな前提をもってこれまでに読んだ言語学習関連の本を感想とともに紹介しておきます。「中級者以上が自学自習を進めるための方法論を与えてくれるかどうか」を基準に評価していきますので、同じような目標の人がいらっしゃいましたら参考にしていただけると幸いです。目安としては英英辞書を読むことができて、より専門的な場面で正確な英語を目指していきたい人向けという感じでしょうか。

では、具体的な本の紹介に入ります。

学習方法系

『英語独習法』(今井むつみ著、岩波書店)

しばらく英語学習の本は買っていなかったのですが久々に買って「これは面白い!」と思えた一冊でした。記事にしていますのでこちらからどうぞ。

中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー – 脳内ライブラリアン

コーパスやWordnetの使い方など言語を楽しく分析するためのツールが多数紹介されています。本書に触発されてコーパスの紹介記事も作っています。

『句動詞の底力』(クリストファ・バーナード著、プレイス)

句動詞といえば、膨大な組み合わせがあって新しい表現に出会うたびに意味が掴めず困ってしまう存在でしたが、この一冊を読むことで前向きに取り組めるようになりました。

本書のスタンスは「丸暗記するのではなく、言語が持つさまざまなデータと楽しく付き合う」ということ。データとして句や単語を分類していくことで、ある程度俯瞰的に対象言語を観察し、根本にある考え方やポイントを押さえていくことを重視しています。こうすることで新しい表現に出会った際や新しい表現を覚えるときも、単純な丸暗記に頼らず対応していけます。

最近はイメージで覚える英単語系の本(特に前置詞)が結構ありますが、こうした空間的イメージの把握を皮切りにして、さまざまな分類による句動詞の眺め方を説明してくれており、今後句動詞に出会ったときも自分の観点が膨らむこと間違いなしです。

この著者は他にも結構日本語で言語教育の本を書いており、その日本語の上手さをみるに相当言語の鍛錬が上手いのだろうと思わせます。この言語に対する姿勢は英語を学ぶ上でも間違いなく役立ちそうです。冒頭部分の言葉を引用しておきます。

ある言語を学ぶ最上の方法は、その言語のデータと楽しくつき合うことだからです。ここでいう「楽しくつき合う」とは次のようなことです:
・そのデータを注意深く調べる。
・データから導き出される重要なポイントを覚えるように努める。
・データにもとづいて自分自身の例をつくり出す。
・自分がその背後にある考え方、つまり、その「哲学」を理解してしまうまで、そのデータを研究する。
・そのデータを別の方法で組み合わせたり、整理したりできないか考えてみる。(同書p.8)

いやあ、この言語に対する姿勢は渋くて好きです。続編である『続・句動詞の底力』も思わず買ってしまっているのでまた読み次第追加します。

『英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法』(中田達也著、講談社)

第二言語習得の研究者である筆者がcollocationやidiomの重要性を、学習方法と合わせて深く語ってくれる本です。

タイトルをみると『あー、また「〜が8割」とか「〜が9割」とかいうやつね』とちょっと食傷気味になってしまいます。その路線で語ろうとする本は、多くの場合強引に簡略化してしまうことが多いので、実際中身を読んでみると単調であまり楽しくない本であることが多い印象です。ただ本書は違いました。単に「決まり文句」といってもいわゆるお役立ちフレーズをただ紹介するものではなく、collocationのようなもう少し緩い単語同士のつながりも含めて、第二言語習得における理論とかなり具体的な学習方法、有用なデータベース、サイトを惜しみなく披露してくれています。

当サイトでも紹介しているSKeLL以外にもJust the Wordといった簡易コーパスサイトやCoCAなどの大規模コーパス、そして頻出句動詞のリスト、IDIOM searchなど類書でも知らないようなものを多数紹介してくれています。この本の発行は2022年8月と比較的新しいので、サイトも変わらず使えるものが多い点も重要です。ライティング、スピーキング、リスニング、リーディングの4分野へのそれぞれの応用方法まで詳細に述べられています。

タイトル通りあくまで定型表現を学ぶための内容に絞られていますが、応用の幅としては非常に広いと思いますので、是非お勧めしたい一冊です。

第二言語習得理論系

『外国語学習に成功する人、しない人-第二言語習得論への招待』(白井恭弘著、岩波書店)

第二言語習得論の研究者である筆者が外国語の学習に成功するために必要なことは何なのかを体系的に教えてくれる本です。

母語の獲得は誰でもどんな環境でも必ずできるのに、なぜ第二言語となるとそれが困難となるのか。確かに考えてみると不思議な話です。本書ではそれを科学的なアプローチで紹介していきますが、最初に書いたように”科学的”といっても、ある分野の一つのデータや研究で証明することが不可能なのを前提として、言語学・心理学・脳科学と多分野にまたがった論理的な説明がなされています。

本書の前半では「なぜ日本人が英語が下手なのか」、続いて「学習が成功する要因は何か」、そして「第二言語習得理論」について説明し、最後に具体的な方法を検討していきます。この構成から分かるように、具体的な学習方法はそこまで多く語られるわけではないので、そこに期待する人には注意が必要です。ただ、その分言語を習得するプロセスについてはしっかりと学べると思いますので、言語習得についての全体像を知るには良いのではないでしょうか。

このブログを始めた当初に何度かこの本の内容を紹介した記事を書いてますね。

『第2言語習得と母語習得から言語の学びを考える』(和泉伸一著、アルク)

こちらは同じく第二言語習得理論についてを中心として言語の学習について考察された本です。上記の本よりもさらに詳しく第二言語習得理論と母語習得理論について説明されています。

本書では母語の習得過程、発達の順序について研究を引用しつつ紹介し、続けて第二言語の習得過程について類似点と相違点を触れつつ、説明する形をとっています。例えば、母語の発達過程では縦軸に言語の正確さ、横軸に時間をとるとU字曲線を描くことが知られているそうです。これは学習がいったん後退する、というわけではなく、例えば英語の過去形の-edをつけるということを不規則変化の動詞にもつけてしまったり、過剰なルールの一般化をするため誤りが一時的に増えてしまっている状況を指します。

育児をしていると分かるのですが、子どもの言語をみていると、過度な一般化による誤りというのは実際に見られます。助詞の「が」を過剰に使って「〇〇がおちゃちょうだい」のようにしているのを自分の子どもでも何度も見ていました。

そして本書によれば第二言語の習得においても同様で、学習した規則や単語を創造的に使うことで誤りが増え、その後習熟することで正確さが向上するという流れを辿ります。こうした理論を知ることで、単語の習熟には知識や日本語訳を詰め込むだけで完成するものではなく、その後の間違いを繰り返していく過程が必要であることを納得していくことができます。このU字曲線の例などの第二言語習得における理論的背景がいくつか紹介されているのが本書の特徴です。

どうしても理論から学習法を知ろうとすると遠回りな印象があり、実際本書でも具体的な方策はそこまで多量には書かれていないのですが、自身の学習の背景で動いているメカニズムを意識することは、現在数多ある英語の学習方法を取捨選択する上で役に立つ土台になると思います。

英語教育に携わる方だともっと詳しく理論を深めるのが良いかもしれません。本書をさらに進めたものとして『言語はどのように学ばれるか』という海外教科書の翻訳書があります。類似の内容を深めたものとしてはオススメです。

歴史・語源系

『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』(朝尾幸次郎、大修館書店)

ちょっと趣の違う英語学習本として歴史的な観点から語源を掘り起こし英文法を捉え直した本です。

日本語が非常に堪能な外国の方と話すときにいつも驚かされるのは、多くの人が日本語というものに対する理解が深いということです。これはわざわざ日本語という地域限定的な言語を学ぼうという知的レベルの高い人だからということもあるかもしれませんが、その語源であったり、類語の違いであったり、母語として話す人は知ろうとしないことをよく知っていることがあります。専門教育を受ける人は併せて学んでいるからというのもあるかもしれませんが、こうした言語の背景知識や文化というものも、概念の異なる第二言語を理解する上で一つの重要な要素であるように思います。

その点で歴史から文法を見直してみる本書は非常に面白い観点を与えてくれます。言われてみるとなぜかわからない英文法の特殊なルールはたくさんあります。「3単現のsはなぜつけるのか」「英語の格はイタリア語、フランス語、スペイン語などに比べてなぜ少ないのか」「仮定法はなぜ過去形にするのか」「なぜ英語は読みにくいのか」などなど高校時代は文法としてひたすら覚えた知識やそういうものとして覚え込んだ単語がどういう歴史の積み重ねで起きてきたかを紐解いてくれます。

他の言語と同様に英語も449-1100年ごろの古英語と1100-1500年ごろの中英語、1500年以降の近代英語と変化してきています。その間にはラテン語、ギリシャ語からの単語の流入や印刷術の発明によりスペリングが定められていくなど変化を伴っていくわけです。覚えにくい不規則なルールもその変化を追ってみると納得できる箇所が増えるのは間違い無いでしょう。

まさに目から鱗が落ちるような驚きを与えてくれる本だと思いますので、英語の歴史について全然知らなかった人でも読み始めてみるともっと知りたくなると思います。ちなみに続編も出ていますのでまたそのうち読みます。

『語源でわかった!英単語記憶術』(山並陞一著、文春新書)

英語の語源を勉強する、というのは一見回りくどい方法のように思えますが、関連付けて多くの単語を覚えたり、各単語のイメージを膨らませて単語の持つ本来の意味を把握したりする上では実はかなり役立つものだと言えます。

英語はラテン語やギリシャ語の流入によってどんどん変化してきた言語となっていますが、大元を辿ると印欧祖語と呼ばれるインドのサンスクリット語とも共通源を持つような語源が見つかります。その印欧祖語をもとに数多くの単語を結びつけて紹介するのが本書の特徴です。

印欧祖語については本ブログでも類義語を紹介するときに意味が深そうなものは紹介しています。オンラインの無料語源辞書であるEtymonline – Online Etymology Dictionaryでも印欧祖語(PIE)が網羅されています。

ただ、Etymonlineはどうしても辞書なので記述としては味気ない感じになりますし、当然全部英語です。それに対して、本書では一つの印欧祖語からどのようにしてそれぞれの単語が派生したかをさまざまな小ネタも挟みつつ、説明してくれており「この単語とこの単語もつながりがあったのか」と著者の知識に驚かされながら楽しめます。ちなみに著者は、会社員でありつつマサチューセッツ工科大学大学院(いわゆるMIT)に留学経験があって書いているようで、英語の専門家というわけではないのがまた驚きです。

しかしながらほとんどが語根の紹介+単語の説明に留まるので、個々の内容は面白くてもどうしても単調な流れになるため、個人的には通読はしにくいように思います。どちらかというと学んだ単語で合致する印欧祖語のものがあれば探して読むような辞書的な使い方の方が良いかもしれません。

また、英語の歴史についてはp.86あたりの中盤にならないと出てこないので、先に上記の『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』などである程度予習しておいた方が理解がスムーズだと思います。

『語源の音で聴きとる!英語リスニング』(山並陞一著、文春新書)

上述の本と同じ著者による語源の説明本です。同じように印欧祖語を用いることで共通した音の持つイメージを膨らませてリスニング力を高めようという主旨の本です。確かに日本語でもそれぞれのかなの音が持つイメージというのはありますし、それによって聞いた瞬間の理解が早まるのはなんとなく納得できます。

ただ、それ以上の方策が具体的にあるわけではなく、上記の本と同様に語源と対応する単語の紹介に留まりますので、正直買うならどちらか一冊で良いのではないかと思ってます笑

個人の経験談系

『英語学習の極意』(泉幸男著、文春新書)

総合商社の商社マンとして、英語のみならずロシア語、ドイツ語、中国語・・・などなど10以上の言語を使える筆者が言語学習について書いた珍しい本。いわゆるポリグロット(polyglot)という人ですね。0から始める言語については「集中的に時間をかけて進める」「辞書の用例をよく読む・単語カードは語群を抜き取る」「句動詞が大事」など上で紹介した本が推奨するポイントと実に似通った点を挙げており、言語を学ぶのが得意な人の経験というのは勉強になるところが多いことを改めて実感します。実際にたくさん言語を学んでいる筆者ならではのイキイキとした方法論が展開されるので読んでいると楽しいです。

本書で紹介されている「高速音読法」はちょっと試してみたものの、あまり効果がわからず継続できませんでしたが、、、。経歴からもわかりますが個人の経験談的な要素の強い本となっています。英語のみならず、多言語を勉強したいという人には良いかもしれません。

ポリグロットの本で他に読んだことがあるのは、数学者でもあり、日本での有名人でもあり、12ヶ国語が喋れるピーター・フランクルの『ピーター流外国語習得術』ですね。

図書館で借りたのみで内容がうろ覚えなので、あまり詳しく紹介はできませんが、とりあえず最善の方法は「外国人の彼女を作れ!」だったのが印象深いです笑

『英語はアウトプットが9割 話す力が劇的に伸びるSNS時代の練習法』(江口幹太著、KADOKAWA)

Twitterで大量のフォロワーを抱えるインフルエンサーである著者がいかにして日本生まれ日本育ちでありながら英語を使いこなせるようになっていったか、留学経験のメンタリティを中心に語った一冊です。

どちらかというと初心者向けに間口が広い本ではあるためか、学習の内面的なプロセスや言葉としての細かい分析には内容が割いていないので、個人的には少し物足りなさを感じます。

ただ、留学や実践的な英会話という点では筆者の熱い思いが感じられるので、初めての留学を控えている人にはうってつけだと思いました。

例えば、単語の学習において「絶対書いて覚えない」「発声する(耳も使って覚える)」という独自性のある主張がされています。確かに学ぶべき単語があまりに多いので書いて覚えようとすると莫大な時間がかかりますし、日本人は得てして会話が苦手ですからこの姿勢は合理的な点がありそうです。留学となると書くこともさることながら話すことは毎日必須となりますので、それを重視するスタイルを構築することが必要です。

自分も2ヶ月程度ですが大学生の頃にアメリカの医学部に留学した経験があるのですが、筆者の留学の辛かった経験をみていると本当に心から共感する部分も多く(自分は筆者のようにそれを乗り越えるところまでいられませんでしたが)留学の経験談としては現実味が強く感じられて良い本だと思いました。そこまで英語が得意でないけれどこれから留学にチャレンジしようという人は一度読んでおいても良いのではないでしょうか。

ちなみに、副題にSNS時代の練習法とあるものの、さっぱりこの副題の意味がわかりませんでした。どの辺がSNS時代を象徴するものだったのでしょうか。

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