※ブログ記事の商品・サービスリンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。

現代数理統計学の基礎 5章 問10(2)

続いて分布収束の問題です。

不偏分散と母分散を用いた式が分布収束することを示す問題ですね。

パッとみた感じ、(1)で示したように不偏分散の期待値が母分散と一致しており、分散が\mu_4-\sigma^4でしたので、中心極限定理を使えばいけそうな雰囲気がします。

不偏分散のままではそうは言えないので、バラすところから始めます。(1)で用いた(x_i-\mu)^2の形に持ち込むところがポイントかと思われます。

\sqrt n({V_n}^2-\sigma^2)\\=\sqrt n\{\frac{n}{n-1}\frac{1}{n}\sum(x_i-\mu)^2-\frac{n}{n-1}(\bar X-\mu)^2-\sigma^2\}

ここからどうせ0になるであろう\bar X-\muの部分は外へ括り出して変形していきます。

\sqrt n\{\frac{n}{n-1}\frac{1}{n}\sum(x_i-\mu)^2-\frac{n}{n-1}(\bar X-\mu)^2-\sigma^2\}\\=\frac{n}{n-1}\sqrt n\{\frac{1}{n}\sum(x_i-\mu)^2-\frac{n-1}{n}\sigma^2\}-\frac{n}{n-1}\sqrt n(\bar X-\mu)^2

さてこれもそれぞれn→∞になったときどうなるかみていきます。

①まず{}内にある第1項と第2項です。

\sqrt n\{\frac{1}{n}\sum(x_i-\mu)^2-\frac{n-1}{n}\sigma^2\}

(x_i-\mu)^2の期待値と分散は(1)で示したように\sigma^2\mu_4-\sigma^4でした。

\frac{n-1}{n}\sigma^2はn→∞のとき\sigma^2となりますので中心極限定理を用いると

\sqrt n\{\frac{1}{n}\sum(x_i-\mu)^2-\frac{n-1}{n}\sigma^2\}\to N(0, \mu_4-\sigma^4)

となります。

②次に見るのは、以下の第3項です

\frac{n}{n-1}\sqrt n(\bar X-\mu)^2

\frac{n}{n-1}はn→∞のとき1になるので、ほっときます。

あとは前述のように\bar X-\muは0になるので良いものの、\sqrt nが厄介です。なので、2乗となっているところをバラして、以下のように考えます。

\(\sqrt n(\bar X-\mu)^2=\sqrt n(\bar X-\mu)・(\bar X-\mu)\)

こうすると、中心極限定理が使えるので

\sqrt n(\bar X-\mu)\to _dN(0, \sigma^2) (\bar X-\mu)\to _p0

となります。

このように分布収束と確率収束するものの積は収束した値の積で表すことができる(本書で記載のスラツキーの定理)ので

\frac{n}{n-1}\sqrt n(\bar X-\mu)^2\to 0

となります。

①、②より

N(0, \mu_4-\sigma^4)に収束することが示せました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)