2021年統計数理の解答例 問4【統計検定1級対策】

さて、脳神経内科専門医試験も無事終わりましたので再度自己学習を進めていきます。

だいぶ試験から間隔が空いてしまいましたが今回は敗北を喫した2021年の統計数理の問題を復習していきたいと思います。つまづいてしまった問4からみてみることにします。

問題の引用は許可されていないようなので、解答のみ記していきますが、公式ページに問題と略解がありますので参考にどうぞ。また、個人的に作った解答ですので間違っている可能性は大いにあります、問題あればツッコミお願いいたします。

問題の概要と解答例

問4は標本平均や平均周りのモーメントの問題でした。

本番では時間が足りず惜しくも(2)までしか解けませんでした、、、。

2015年の統計数理問1と少し似ていまして\(E[(X-\mu)]=0\)を活かして計算を進めていくところがポイントとなります。類題については以下のページでも解説しています。

(1)

では(1)から。これは簡単すぎますね。

\(V(\frac{\sum X_i}{n})\\=\frac{1}{n^2}V{\sum X_i}\\=\frac{\sigma^2}{n}\)

(2)

(2)ですが、この問題を通した大事な基本的前提として確率変数と期待値の独立性の関係があります。

確率変数と期待値の独立性:
確率変数(例えば\(X_1,X_2\))が独立であれば\(E[X_1X_2]=E[X_1]E[X_2]\)が成り立つということ。またその確率変数を用いた積分可能な関数g(X)についても\(E[g(X_1)g(X_2)]=E[g(X_1)]E[g(X_2)]\)が成り立ちます。

これを踏まえて計算していきますと

\(E[(X_1-X_2)^3]=E[X_1^3]-3E[{X_1}^2]E[X_2]+3E[X_1]E[{X_2}^2]-E[X_2^3]\)

となります。\(X_1,X_2\)がそれぞれ独立であるため、このように分離できるわけですね。

あとは+とーが打ち消しあいますので、答えは0となります。

(3)

ここからは平均周りのモーメントを求めていきます。

まず

\(E[Y_i^3]=E[(X_i-\mu)^3]\\=\tau\)

これは問題文の通りです。
続いて

\(E[Y_i^2Y_j]=E[(X_i-\mu)^2]E[(X_j-\mu)]\\=\sigma^2・0\\=0\)

これも先ほどの前提通り\(X_i, X_j\)が独立であれば\(X_i-\mu, X_j^\mu\)も当然独立となりますので、分離して計算できるわけです。

次も同様にして

\(E[Y_iY_jY_k]=E[X_i-\mu]E[X_j-\mu]E[X_k-\mu]\\=0\)

となります。本番では0が続きすぎて不安になりました。

(4)

ここから和の記号Σが登場し、まだ一段と複雑になります。本番はここで力尽きました。
前問を当然ながらヒントとしてやっていくことになります。もっと効率的な解答があるのかもしれませんが、、、。

\(E[\sum(X_i-\bar X)^3]\\=E[\sum{(X_i-\mu)-(\bar X-\mu)}^3]\\=E[\sum(X_i-\mu)^3]-E[\sum3(X_i-\mu)^2(\bar X-\mu)]+E[\sum3(X_i-\mu)(\bar X-\mu)^2]-E[(\bar X-\mu)^3]\)

さて、まずはこのように展開してそれぞれの項をみていきます。

\(E[\sum(X_i-\mu)^3]=\sum E[(X_i-\mu)^3]\\=n\tau\)

次に

\(E[\sum3(X_i-\mu)^2(\bar X-\mu)]=3E[\sum{(X_i-\mu)^2\frac{1}{n}\sum_{j=1}^n(X_j-\mu)}]\)

さて、なぜこのように標本平均をあえてまた和の形に変形するかですが、こうすることで先ほどと同様に期待値をとると0になる部分が作り出せるので非常に便利なんですね。

例えば上の例のΣを実際に書き下してみると

\(3E[\sum{(X_i-\mu)^2\frac{1}{n}\sum(X_j-\mu)}]\\=3E[\sum\{(X_i-\mu)^2\frac{1}{n}\{(X_1-\mu)+(X_2-\mu)+…+(X_n-\mu)\}\}]\)

という具合になります。
そうすると、結局のところ\((X_i-\mu)^2\)と\((X_j-\mu)\)の掛け合わせたものと
\((X_i-\mu)^3\)となるものが出来上がるのがわかるでしょうか。

このうち、\((X_i-\mu)^2\)と\((X_j-\mu)\)をかけたものは先ほどの確率変数とその関数の独立性から\(E[(X_i-\mu)^2]E[X_j-\mu]\)とわけられます。そして、\((X_j-\mu)\)をかけあわせたものは期待値をとるとすべて0になるので要するに3乗の式しか残らなくなるわけです。

よって

\(3E[\sum{(X_i-\mu)^2\frac{1}{n}\sum(X_j-\mu)}]\\=\frac{3}{n}n\tau\\=3\tau\)

となります。

同様にして

\(E[\sum3(X_i-\mu)(\bar X-\mu)^2]\\=3E[\sum\{(X_i-\mu)\frac{1}{n^2}\sum(X_j-\mu)^2\}]\\=\frac{3}{n^2}n\tau\\=\frac{3}{n}\tau\)

最後の項は

\(E[\sum(\bar X-\mu)^3=E[\sum[\frac{1}{n^3}\{\sum(X_i-\mu)^3\}]]\\=\frac{1}{n^3}n^2\tau\\=\frac{\tau}{n}\)

となります。

以上の結果をすべて合わせて

\(n\tau+\frac{3}{n}\tau-3\tau-\frac{\tau}{n}\\=\frac{(n-1)(n-2)}{n}\tau\)

となります。計算力がかなり問われますね。

(5)

(5)は不偏推定量の条件を問う問題です。ここの解答はもう少し数学的に適切な表現が必要そうな気がするので自信が若干ありませんが、書いておきます。

前問と同様に平均周りのモーメントを使って展開していってみます。

\(E[(\sum a_iX_i)^3]\\=E[\{\sum a_i(X_i-\mu)+\sum a_i\mu\}^3]\\=E[\{\sum a_i(X_i-\mu)\}^3+3\{\sum a_i(X_i-\mu)\}^2\sum a_i\mu+3\sum a_i(X_i-\mu)(\sum a_i\mu)^2+(\sum a_i\mu)^3]\)

まずこうなりますので、それぞれの項をまた考えてみます。

まず第1項は前の問題と同様にE[X-μ]=0となることを利用すると3乗の項しか残らず

\(E[\{\sum a_i(X_i-\mu)\}^3]=E[\sum a_i^3(X_i-\mu)^3]\)

第2項も同様に展開したところで2乗の項しか残らないので

\(E[3\sum a_i^2\sigma^2\sum a_i\mu]\)

第3項については期待値をとると0になります。

第4項は定数項なのでそのまま。

さて整理しなおすと

\(E[\sum a_i^3(X_i-\mu)^3]+E[3\sum a_i^2\sigma^2\sum a_i\mu]+(\sum a_i\mu)^3\\=\sum a_i^3\tau+E[3\sum a_i^2\sigma^2\sum a_i\mu]+(\sum a_i\mu)^3\)

これがτと等しくなれば良いわけですね。第3項と第2項は符号が一致するため、どちらも0となるための条件として\(\sum a_i=0\)。また初項がτと等しくなるためには\(\sum a_i^3=1\)となることがわかりますので、答えは\(\sum a_i=0,\sum a_i^3=1\)となります。

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