【弱める、衰弱させる】impair/debilitate/weaken/attenuate の違い【医学論文の英語表現】

「弱める」「衰弱させる」といった意味で用いられるimpair/ debilitate/ weaken/attenuateについてまとめていこうと思います。

目次:

単語の意味と共起表現

・impair

to spoil something or make it weaker so that it is less effective

原義からして、もともとあった何かを弱めたり台無しにしてしまうという意味合いがあります。

共起表現でよくみられる目的語としてindependence, functioning, ability, mobility, visionなどがあり、いろいろな能力がダメになってしまうという形で使われやすいことがわかります。

特に神経内科領域では名詞形でcognitive impairmentやimpaired consciousness(いわゆる意識減損)あたりの表現を見かけることがあります。やはりいずれも元々ある何らかの能力が弱められるといった印象があります。

・debilitate

to make someone or something physically weak

他の単語との違いで際立つのはphysicallyというところでしょうか。体と直接的に関連するので共起表現も病気と関連するものが多いです。

debilitating stroke, symptoms, disease, problem, headache, illness, conditionなどですね。debilitating strokeと言われても日本語にどうも訳しにくいのですが、ing形で名詞を修飾する形は確かによく見かけます。

・weaken

to (cause to) become less strong, powerful, determined, or effective

人というよりもうちょっと大きな現象に使われることも多いのか、共起表現にはstorm, hurricaneといった自然・環境やdollar, yen, economyといった経済の単語が並びます。weakened by injury/diseaseなんていうのもありますが、あまり医学論文の場面では見られないように思います。

・attenuate

to make something less or weaker

こちらも弱めるという意味ですが、上記の機能に関連したimpair, debilitateとは異なり、科学的な現象や力・効果に関して弱めるという意味合いで使われることが多いようです。他に「薄める」という意味もあり、そちらのイメージが近いのでしょう。

weblio辞書も参照

 

Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus

単語の原義はこちらから引用)

(SKELL共起表現はこちらを参照)

医学論文を含めた用例

・impair

・debilitate

Generalised  myasthenia  gravis  is  a  rare,  chronic,  auto­immune  disease  that  causes  debilitating  and  potentially  life­threatening muscle weakness affecting ocular motility, swallowing,  speech,  mobility,  and  respiratory  function,  which can significantly impair independence and quality of life.

(Lancet Neurol 2021; 20: 526–36)

今回勉強の題材としていたのは重症筋無力症における新規薬エフガルチギモドの論文です。一文の中に上記の二つの単語が並んでいます。

debilitatingはmuscle weaknessを修飾しており、肉体的に衰弱させるような病気であることを述べています。

一方、impairはindependence and quality of lifeを目的語としています。上で述べたように能力や状態を”損なう”という意味合いで少し違いを感じさせますね。

またimpairは下記の文でも使われています。

These  actions lead to reduced density of functional acetylcholine receptors  and  damage  to  the  neuromuscular  junction,  resulting in impaired neuromuscular transmission.

(Lancet Neurol 2021; 20: 526–36)
 
神経筋接合部の伝達が弱まる、という意味で、本来ある能力が損なわれるイメージなので、debilitatedでは適さないように思われます。
 
debilitateのほかの例としてはこんな感じです。
 
Hepatic encephalopathy is a chronically debilitating complication of hepatic cirrhosis.
(N Engl J Med. 2010 Mar 25;362(12):1071-81. doi: 10.1056/NEJMoa0907893.)
 
やはり基本的にはing形で衰弱させる病気や症状、合併症ですよ、というのを強調させる目的で使われることが多そうですね。
 
・weaken
こちらの単語は手持ちの医学論文ではヒットしませんでした。一般的に弱めるという意味では使われそうな気もするのですが、、、。
なお、pubmedで検索したところ
The COVID-19 pandemic as an opportunity to weaken environmental protection in Brazil
(Biological Conservation,Volume 255,2021,108994)
といった環境系の論文のタイトルで使われていました。共起表現も環境に関連したものが多いため納得できます。
 
また
 
Alzheimer’s disease and amnestic mild cognitive impairment weaken connections within the default-mode network: a multi-modal imaging study
(J Alzheimers Dis . 2013;34(4):969-84. doi: 10.3233/JAD-121879.)
 
という論文タイトルもあります。impairmentを受けてつなげる動詞なのでここは確かにweakenでないと難しいのかもしれません。
 
・attenuate
High-intensity aerobic exercise might attenuate the symptoms of Parkinson’s disease, but high-quality evidence is scarce.
(Lancet Neurology. 2019 Nov;18(11):998-1008.)
 
力・効果に関連した意味で「弱める」という言葉なのでここではattenuateが使われています。impair, debilitateとは異なり、能力を失うという悪い意味ではなくても使われることが印象的ですね。

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