代表的な確率分布の特性についてまとめおわったところで、問7です。
確率分布の特徴と関連するので、記事を参考にしながらご覧ください。
まずは(1)
指数分布の確率関数の和の分布を求める問題ですね。
指数分布はガンマ分布の特殊版であることに気づけば容易です。ガンマ分布は和の再生性があるため、足し合わせた結果が簡単にわかります。
なので
となります。
※解答も本書の方もと書かれていると思いますが、二つ目のパラメータの書き方が一般的でないので、単純にθと記載します
同様にして
続いて(2)。オーソドックスな尤度比検定の問題です。
まず尤度関数は互いに独立であるため、二つの尤度関数の積で表されます。
続いて、帰無仮説と対立仮説の時のMLE(最尤推定量)を求めます。
①まず帰無仮説が成り立つとき、尤度関数は
対数尤度関数にすると
さらにパラメータθで微分して
=0として、整理すると
となります。
②次に、対立仮説の場合
各々の最尤推定量を求めます。まず対数尤度関数は
パラメータで微分して
=0として、整理すると
※としました。
同様にして
となります。
これで材料は出揃ったのでそれぞれの最尤推定量を尤度関数に代入し、尤度比を求めます。
\(\lambda=\frac{(\frac{1}{\bar X})^n(\frac{1}{\bar Y})^mexp\{-(n+m)\}}{(\frac{n+m}{n\bar X+m\bar Y})^{n+m}exp\{-\frac{n+m}{n\bar X+m\bar Y}(n\bar X+m\bar Y)\}}\\=\frac{(n\bar X+m\bar Y)^{n+m}}{(n+m)^{n+m}(\bar X)^n(\bar Y)^m}\)
expは綺麗に消えました。
あとは2logをつけると、カイ二乗分布に従うことを利用して、尤度比検定は
\(2log\lambda\\=2(n+m)log(n\bar X+m\bar Y)-2(n+m)log(n+m)-2nlog\bar X-2mlog\bar Y\\=2nlog\frac{\bar X}{n\bar X+m\bar Y}-2mlog\frac{\bar Y}{n\bar X+m\bar Y}-2(n+m)log(n+m)\\=2n\frac{Z}{n}-2m\frac{1-Z}{m}-2(n+m)log(n+m)\lt \chi_{1,\alpha}^2\)
となります。検定が統計量Zに従うことも示せました。
※公式の解答はここがZ/nではなくnZになっているのですが、何回か計算しても公式の方のミスな気がしてなりません。わかる方がいたらご教示ください。
(3)は次回に回します。
(*2021.04.25追記:指摘を頂き、最後の不等号が逆になっていたので直しました)
(*2021.10.20追記:指摘を頂き、尤度比2logλがカイ二乗分布に従う、と修正しました)
(2)の解答ですが、こちらで何度か計算しても公式の解答にならず、こちらで掲載されている式にたどり着きます。
おそらくこちらで掲載されている解答で正しく、公式の解答が間違っている可能性が高いと考えます。
統計検定1級に関する情報が少ない中、本ホームページは非常に重宝しています。
今後も参考にさせていただきます。
>nuka137さん
一人だと式が間違っているのかどうか自信が持てませんでしたが、同意頂けて良かったです!
励みになるコメントどうもありがとうございました。お役に立てましたら幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
問7(2)ですが、尤度比が分子と分母がら逆になっていると思います。p150の定義7.4では、帰無仮説に制限した時の最尤推定量を代入した尤度関数が分数の分子になっていますが、記事では分母になっています。そのため、最終的な解答では符号が逆になると思います。ただ、
Z/nがnZになるのは誤植だとおもいます。あっているか確認お願いします。
お忙しい方だと推察しますので、更新されていないだけかもしれないですが、参考になれば幸いです。
>ゆうたさん
コメントありがとうございます。-2log→2logに修正させていただきました。参考書によっては分子分母が逆のものもあるようなので、どちらだったか混乱してしまったのだと思います。