今回は「AをBのせいにする」「AをBに帰する」という意味を持つ単語を中心に見ていきます。この「AをBに帰する」って個人的にはすごく馴染みにくい日本語訳だと思っていて、普通日本語でこんな表現使わないですよね、、、。それゆえにこう訳される単語もいまいち頭に定着しないと思っていたので、しっかり一度まとめてみようと思います。
違いのポイント
attributeは幅広く使える表現です。物事の原因や性質(A)などがBにある場合に、attribute A to Bの形で使用されます。同様に名詞attributeも特性、性質という意味を持ちます。
ascribeはattributeとほぼ同じような形で使われますが、コーパスなどを見てもよりformalな表現にはなっているようです。
creditは信用、信頼の意味の名詞の方が日本語的には印象深く(クレジットカードなど)ありますが、attributeの類義語として必ず出てきます。原義は確かに「信用」なのですが、そこから「功績などを〜のおかげと考える」というような意味が出ていると思われます。
blameは何かの責任があったり、非難する意味合いを込めて「AをBのせいにする」という文脈で使われます。日本語も「〜のせいにする」というのは負の意味があるので、blameが本来近いのかもしれません。
imputeは罪や欠陥など悪いことの原因を述べる場合に用いられます。ただコーパスをみてもblameに比べると使用頻度は低そうです。
attribute A to B
【意味】
(物事など)AをBのせいにする
(性質など)AがBにあると考える
▶︎原義はAd”to” tribuere “assign, give, bestow” で(〜へ)+(与える)なのでこのような意味となっています。
▶︎名詞としては動詞の意味と関連して特性、性質など
【共起表現】
attribute the decline/ increase to ~
減少/増加を〜のせいにする、〜が原因と考える
attribute the blame to ~
責任を〜のせいにする
The quote attributed to ~
~による格言
▶︎受動態で使われることも多く見受けられます。
(名詞形)
positive /negative attribute
長所、積極的な性格、取り柄
短所、マイナスの特性
【例文】
He attributes his success to his efforts.
彼は自分の成功は努力によるものだと考えている。
The outage was attributed to the typhoon.
停電は台風によるものだった。
The quote was attributed to Nietzsche.
その格言はニーチェによるものとされている。
▶︎形が似た動詞にcontributeがありますが、こちらはcon”with” tribuere “assign, give, bestow”で「〜に与える」「〜を提供する」の意味になります。contribute A to B で「BにAを与える」ですね。
▶︎自動詞でcontribute to A「Aの一因となる」という使い方もされますが、この時は他動詞ではないので、attributeと少し異なります。
ascribe A to B
【意味】
(物事など)AをBのせいにする
(性質など)AがBにあると考える
▶︎attributeと似ていますがよりformalな表現です。
【共起表現】
ascribe miracle 〜
奇跡を〜によるものと考える
ascribe causality 〜
因果を〜によるものと考える
【例文】
He ascribed his failure to bad luck.
彼は自分の失敗を運がなかったせいだとした。
They ascribed the religious significance to that place.
彼らはその場所に宗教的な重要性があると考えた。
credit A with B
【意味】
(性質などを)AをBが持つと信じる、考える
(功績など)AをBのおかげだと考える
▶︎attributeと異なりcredit A with Bの形をとりますがcredit A(功績など) to B(人)の形でtoを使うこともあります。
▶︎同じ形で「AにB(お金)を振り込む」という意味もあります。
▶︎attributeの同義語として出てきますが、ぱっと見その感覚が分かりませんでした。名詞で信頼、功績などの意味がありますがそこから連想すると「信じる」「功績などを〜のおかげとする」という動詞の意味が覚えやすいかもしれません。
用例などはこちらのサイトがわかりやすかったです。
credit with / toの使い方、クレジットの意味を考える | ネイティブと英語について話したこと
【共起表現】
credit the success to
成功を〜のおかげだと考える
credit the victory to
勝利を〜のおかげだと考える
▶︎attributeなどと同様に受動態で使われることも多いです。
【例文】
I credit him with good communication skills.
彼は良いコミュニケーションスキルがあると考えている。
The discovery of radiation was credited to him.
放射線の発見は彼の業績だと考えられていた。
Give credit where credit is due.
功績が認められるのであれば功績を与えなさい。
blame A for B
【意味】
Bを理由にAをせめる
BをAのせいにする
▶︎責任の所在を求めるイメージです。名詞で「責任」「非難」などの意味を持ちます。
▶︎非難するという意味ではcriticize, accuseなどもありますが、blameは感情的なものと含めて責任の追求をするという意味、criticizeは責任の所在というより批判・批評するという内容に関しての意味、accuseは道徳的な問題や犯罪に対しての意味(告訴の意味もある)、とそれぞれ異なります。
【共起表現】
blame A on B
AをBのせいにする
blame the victim
被害者を非難する
blame the government
政府を非難する
blame the failure on ~
失敗を~のせいにする
【例文】
They blamed the past failure on the government.
彼らは過去の失敗を政府のせいだと考えた。
You have to take responsibility instead of blaming others.
他人のせいにするのではなく自分で責任を取るようにしなければいけない。
impute A to B
【意味】
(罪や欠陥など悪いことを)〜の責任だと考える
▶︎他に欠測データに対する代入という意味でも使われます。名詞形のimputationの方がよくみる気がしますね。
▶︎語源としてimはin, intoを意味しており、puteはラテン語のputare(to reckon, clear up, trim, settle)といった意味からきています。印欧祖語としてはpau-(to cut, strike, stamp)で同語源の単語としてamputate(切断する、医学用語だとアンプタとよく言いますね), compute(計算する), depute(代理に命じる、de=awayなので「自分から離れて代わりに」のイメージでしょうか)など。
【共起表現】
imputed sin/ guilt
転嫁された罪(いずれもキリスト教絡みの単語として使われます、アダムのみではなく人類全てが負うべき罪という文脈)
【例文】
Adam’s sin is imputed to us.
アダムの罪は我々も負うものである
まとめ
attribute – 特性や性質、原因がある場合に用いられる
ascribe – attributeよりformal
credit – 「〜のおかげである」という場合に用いられる
blame – 非難や責任を問う場合に用いられる
impute – 罪や欠陥の原因を問う場合に用いられる
冒頭に書いたように「AをBに帰する」という和訳はどうも普段の日本語に馴染まないので英語を読む時もこれらの単語を見ると、ぎこちなさを感じてましたが、こうして改めて意識しておくと読んだり聞いたりする時もスムーズに受け入れられそうです。
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参考としたサイト・文献
(単語の意味・語源はこちらを参照Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus , 英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書, ハイパー英語語源辞書, Dictionary.com | Meanings and Definitions of Words at Dictionary.com, Etymonline – Online Etymology Dictionary)
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