【必要な、重要な】important/ necessary/ crucial/ essential/ mandatory/ imperative/ indispensableの違い【医学論文の英語表現】

Backgroundで目的の重要性を語る場合やdiscussionで結果の重要性を語る上で欠かせない「必要な」「必須な」「重要な」といった意味で使われる形容詞について、勉強してみます。頻繁に使われるのはimportant, necessaryですがそればっかりだと飽きてしまうので、似たような他の形容詞についても合わせて学んでみましょう。TOEFLのwritingにも役立つと思います。

単語の意味と共起表現

・important

necessary or of great value,having great effect or influence

これは本当に便利でよく使われますね。汎用性も高いのでこれを使っておけば概ね問題ないと思います。

さらにバリエーションとして強調する場合の共起表現として用いられやすい副詞は以下のようになっています。

particularly, extremely, especially, vitally, increasingly


状況に応じてこの辺も合わせて使えるとなお良さそうですね。

・necessary

needed in order to achieve a particular result

こちらも頻繁に使われる形容詞かと思います。

副詞の共起表現として


absolutely, medically, reasonably, vitally


などがありますが、importantと違ってあまり強める意味の副詞のバリエーションはなさそうです。

・crucial

extremely important or necessary

続いてはcrucialですが、元の意味から先程の二つをより強めた形容詞であることがわかります。

さらに


absolutely, extremely, especially, increasingly


などimportantと同様の副詞で強めることができます。

・essential

necessary or needed

こちらは「必要な」という意味が近いですが、伴う名詞などに少し違いがありそうです。

修飾する名詞として栄養などに関連したものが多いですね。


oil, nutrient, element, vitamin


などがよくみられるようです。

また、toolなど具体的なものに対して用いられやすそうです。
後で紹介するindispensableと修飾する単語は似通っています。

また、強める副詞の共起表現としては


absolutely, pretty


などがあがります。

・mandatory

Something that is mandatory must be done, or is demanded by law

mandatoryは少し他とは毛色が異なって「(例えば、法律的に)必須である、義務である」と言った意味を持ちます。

最近の話題で言いますとコロナウイルスに対するmandatory vaccinationというのがよく使われる表現でしょうか。ワクチンの義務化という話になりますが賛否両論ありますね。

・imperative

extremely important or urgent:

「重要な」という意味になりますが、importantより強い意味を持ちます。 

共起表現として修飾される語句でみられやすいのはmoodです。なぜmoodなのかと思いましたが、これはimperative mood = 命令法、という意味になるようです。

moodというのがgrammatical moodという、話していることに対する話者の態度を示す動詞の語尾変化(verbal inflection)を指す文法用語でもあるみたいですね。
Grammatical mood – Wikipedia

実は語源がimperial(帝国の), imperious(傲慢な、命令的な)などラテン語で「命ずる」を意味する言葉から来ているためこのような使われ方はむしろ納得がいくものかもしれません。

program, sentence, languageなどの言語に関連した語句を修飾することも多いようです。

・indispensable

Something or someone that is indispensable is so good or important that you could not manage without it, him, or her

「〜なしで済ませられない」という場合に使われますね。先程のessentialと同様に共起表現として修飾する名詞は具体的なものや要素などがみられます。


tool, guide, ingredient, part, duty, element, component, role


などですね。

(単語の意味はこちらから引用Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus)

(共起表現はこちらを参考にしていますSKELL)

(勉強の方法はこちらを参照中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー – 脳内ライブラリアン)

医学論文を含めた用例

続いて、実際の例を見ていきます。important, necessaryは頻出すぎますし、きっと慣れていると思うので、割愛します。

・crucial
crucialはimportantよりも強い意味を持って、Backgroundで研究対象の重要性を述べる場合に使われています。

Intrinsic factors including host genetics and chromosomal sex play a crucial role both in shaping the host immune system and in the neuroimmune response to brain injury.

Stroke. 2022 May;53(5):1449-1459.

Neuroimaging has a crucial role in diagnosing and monitoring spontaneous intracranial hypotension,

Lancet Neurol. 2022 Apr;21(4):369-380.

特にここで見られるような”have a crucial role”, “play a crucial role”という使われ方が多く見られました。

Early enteral nutrition is crucial for preventing malnutrition and improving outcomes in patients with severe stroke,

Lancet Neurol. 2022 Apr;21(4):319-328.

forを伴って「〜に対して」重要であるといった文も通常よくみられています。important, necessaryと可換であるように思います。

・essential

The thalamus plays an essential role in cognition.

Stroke. 2022 Jun;53(6):1904-1914.

Germline genetic variants play an essential role in the pathogenesis of bAVM.

Neurology. 2022 Apr 19;98(16):e1670-e1678.

さて、こちらもcrucialと同様に”play an essential role”の形がよく見られます。

The identification of people at risk of cognitive impairment is essential for improving recruitment in secondary prevention trials of Alzheimer’s disease.

Lancet Neurol. 2021 Jul;20(7):537-547.

forを伴うのも同様ですね。なお、神経内科的にはessential tremor(本態性振戦)という単語としても使われます。そういえばなぜこれが”essential”なのか、患者さんにとっては全くessentialじゃないよなあ、と思ったらそこを掘り下げた論文があったので、オマケとして後で紹介します。

・mandatory

All acute CVT admissions were retrieved from a mandatory registry covering mainland Finland.

Stroke. 2021 Jan;52(1):335-338.

mandatoryは規則や法律で必須な、という意味になるので例えば、義務として登録されるようなデータベース、レジストリを示す場合に使われていました。

Areflexia or hyporeflexia is a mandatory clinical criterion for the diagnosis of Guillain-Barre syndrome (GBS).

J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020 Mar;91(3):278-284.

また、他にも必須な診断基準を示す時にも使われます。診断基準はある程度統一された決まりのようなものですからね。

・imperative
さて、ここからの単語は検索してもヒット数が少なくあまり医学論文では使われていないようです。

Early identification and treatment is imperative to avoid neurologic complications, like high cervical compressive myelopathy,…

Neurology. 2022 Mar 15;98(11):462-465.

「神経合併症を避けるためには早期に特定することと治療が必要不可欠である」という感じでしょうか。ほぼimportant, necessary, crucialと可換であるように思えます。

・indispensable
こちらも使用頻度としては少ないです。

As such, MRI is already become an indispensable tool in clinical trials in dementia….

Lancet Neurol. 2002 May;1(1):13-21.

上述した一般的な共起表現も参考にするとMRIのようなツールに用いるのが適切であるように思います。

<オマケ>essential tremor(本態性振戦)はなぜessentialなのか?

Neurology誌にessential tremorという用語がいつから使われるようになったのか、という面白い論文がありました。

Historical underpinnings of the term essential tremor in the late 19th century – PMC

こちらの論文によるとessential tremorという単語は1874年Burresi (イタリア)という医学教授が使ったのが最初で、そこではsemplice essenziale(simple essential tremor)という用語が使われています。また他にもtremore essenziale congenito(essential congenital tremor)など19世紀後半の同時代にessentialを使った表現が見られていたようです。また、ここで使われるcongenitalからわかるように、この時代にはすでに先天性・遺伝性を持つ病気であることが知られていたようですね。

19世紀後半というとパスツールが研究所を開き、コッホがコレラ菌の分離に成功していたり、レントゲンがX線を発見するなどなど近代医学が大きく進歩してきた時代というイメージかなと思っています。

この論文によると当時、疾患は大まかに①急性の感染性疾患、②慢性・体質性の疾患、③遺伝性疾患に分けられていたようで、本態性振戦はこの「遺伝性」もありながら、長期に持続する「体質」の症状でもあったため、その人にとって「本質的(で変えることができない)」という意味も持つ”essential”が使われたのではないでしょうか。

β blockerが振戦に使われ始めたのは、比較的古いpubmedの論文をみても1900年代後半のようなので、当時は付き合っていくしかなかったのでしょう。
Effect of the beta adrenergic blocking agent propranolol on essential tremor – PMC

ふと考えてみるとなぜこうした病名なのだろう、と思う疾患は結構あるので、たまにはこういう歴史をみるのも面白いですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)