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【疾患】disease/ morbidityの違い【医学論文の英語表現】

今回は英語というより専門用語の勉強という感じになりますが、morbidityについて理解を深めてみたいと思います。

論文を読んでいて遭遇したのは以下のような表現でした。

Myelin oligodendrocyte glycoproteins antibody-associated disease(MOGAD) is a distinct central nervous system(CNS) demyelinating disease that can relapse and has the potential to cause severe morbidity.

JAMA Neurol. doi:10.1001/jamaneurol.2022.0489

英和辞典でも、まず出てくるのは「罹患率」という訳語ですが、「MOG抗体関連疾患という病気は重度の罹患率の原因となりうる」というのはどうもおかしいわけです。もう少し様々なmorbidityの意味を知る必要がありそうです。

そこでいまいち意味が掴みづらいmorbidityをdiseaseと比較しながら今回学んでみます。

単語の意味と共起表現

・disease

(an) illness of people, animals, plants, etc., caused by infection or a failure of health rather than by an accident

diseaseはよく使われる単語なので意味は概ね分かります。定義としては事故による外傷というより内因性の疾患として使われることが分かります。

・morbidity

the morbidity of a disease is how many people have it in a particular population

さて、morbidityは通常の定義を見ると和英辞典と同様に「罹患率」に近い定義が出されています。これだけだと冒頭の例の意味が掴めません。そこで英語版Wikipediaの”disease”の項目を見てみるとdiseaseとは少し異なるコンセプトが書かれています。

Morbidity (from Latin morbidus ‘sick, unhealthy’) is a diseased state, disability, or poor health due to any cause. The term may refer to the existence of any form of disease, or to the degree that the health condition affects the patient.

Disease – Wikipedia

これをみると、disease stateやpoor healthという”状態”を表す語句としても使われることがわかります。また、the degreeと書いてるように程度も示すことができるようです。日本語には相当する表現がいまいち見つからないように思います。

以下のページではより具体的な例も書いてあります。

Morbidity vs. Mortality: What’s the Difference?

不健康な状態そのものをmorbidityと言って指し示すようです。上述のリンクでは心疾患や糖尿病、認知症といった慢性的な状態変化をきたす疾患が例としてあげられています。冒頭の例もおそらくは同様の「不健康な状態」といった意味ではないかと思います。

関連した語句として合併症を英語でco-mobidityと書きますね。併存(co)し続けている状態(morbidity)だからなのでしょう。

(単語の意味はこちらから引用Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus)

(共起表現はこちらを参考にしていますSKELL)

(勉強の方法はこちらを参照中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー – 脳内ライブラリアン)

医学論文を含めた用例

diseaseは例文がありふれ過ぎていますので、morbidityの使用例を見ていきます。

・morbidity

Aneurysmal subarachnoid hemorrhage (aSAH) is associated with high mortality and morbidity.

Stroke. 2022 Mar 31:STROKEAHA121035699.

Venous thromboembolism (VTE), which includes deep vein thrombosis (DVT) and pulmonary embolism (PE), is a common disease with substantial morbidity and mortality.

JAMA. 2022;327(11):1051-1060.

このmortality and morbidityというセットはめちゃくちゃよくみる表現ですね。罹患率、死亡率が共に高く、重要度が高い疾患であることを示しています。

また死亡症例や合併症症例について検討するMorbidity & Mortality(M&M) conferenceという言葉もありますが、こちらは“罹患率“というよりも“合併する疾患
”という意味合いになっています。

Down syndrome is a chromosomal disorder with considerable neurodevelopmental impact and neurodegenerative morbidity.

Lancet Neurol. 2022 Jan;21(1):31-41.

こちらは疾患という意味で使われていますね。この文であればdisorder, diseaseと交換可能であるように思います。

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