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【治す、治る】recover, cure, heal, get over, feel better, get well, treat【類義語から学ぶ英単語】

「治る」「治す」「治療する」といった単語は医療関係だと良く使われる動詞ですが、日本語では違いが分かりにくい言葉もいくつかあります。今回はそのあたりの違いについてまとめてみました。

ざっくりとした違い

recoverはre-の接頭辞が表すように「元の状態に戻る」という意味があり、健康な状態に「治る」ことを示す自動詞やもともとあった記憶・意識などを「取り戻して治る」の意味で使われます。
cureは「治す」という意味の他動詞です。名詞も同じ形で治療法全般を指して使われます。
healは「治る」「治す」のどちらもありますが、どちらかというと自然治癒に近い意味合いが強く、傷・骨折などに対して使われる例がみられます。
treatは薬や処置などで「治す」という場合に使われます。完全に治るわけではなくてもそれを試みる時点で使えるので、医学的な行為ではかなり汎用性が高く使えそうです。
get well, feel betterなどはphrasal verbでより日常的な場面で使われる「よくなる」という意味となります。定型表現なのでいくつか覚えておきたいところです。

ではそれぞれについてもう少し詳しく見ていきます。

recover

recoverは「元の健康な状態に戻る」という意味で病気や怪我などから完全に回復して治る、という場合に使われます。fromあるいはafterを伴って何から回復をしたのかを示すことができます。

She finally recovered from COVID-19 only a week ago.
彼女はようやく1週間前にCOVID-19から回復しました。

Skellでcollocationを調べてみるとaddictなど依存症からの回復という場合でも用いられるようです。

‌He recovered from his gambling addiction by stopping a dopamine agonist.
ドパミン作動薬を中止することで彼はギャンブル依存から回復した。

なお、addictionは中毒・依存を示す名詞ですが、addictの場合は中毒者・依存者を示します。recovering addictで回復中の依存症患者であることを示すことができます。

また、「意識が戻る/回復する」「記憶が戻る」などの場合は目的語に「再度手に入れたもの」をとってrecoverが使われます。

It takes around thirty minutes to recover her consiousness. So, this indicates that the cause is not like syncope.
彼女は意識が戻るまでに30分かかった。これは原因が失神ではないことを示唆している。

医学論文での例

名詞形のrecoveryの方がよく使われているようです。アウトカムの設定や目標の説明などで使われています。

やや少なくはなりますが動詞の場合も以下のような例で使用されています。

Benign patients were more likely to be female and younger at MS onset, have fewer relapses within the first two and 5 years from onset and fully recover from the first relapse (p<0.001).(PMID: 30824631)

Our study confirms that somatosensory deficits are frequent in acute ischemic stroke but largely recover over time.(PMID: 30943883)

副詞のfullyとは相性が良いのでfully recoverというcollocationは散見されます。名詞形の場合はfull recoveryという形ですね。

cure

cureは病気を治療し、もともとの健康な状態に戻すという意味です。recoveryは自動詞として「治る」あるいは「何かを取り戻す」ですが、cureは「〜を治す」「〜を治療する」という他動詞となります。

He made wild claims about being able to cure cancer.(Cambridge dictionaryより引用)
彼は癌を治すことができるという過激な主張をした。

Skellを見ると病気を目的語と取ることのほうが多そうですが、人を目的語とすることもできます。

Doctors can effectively cure patients of syphilis due to the advent of penicillin.
医師はペニシリンが出てきたおかげで梅毒を効果的に治療できるようになった。

医学論文での例

名詞として使うこともでき、「~に対する治療法がない」という場合にno cure for~という形で使うことができます。

Although a plethora of immunosuppressive treatments exist, no cure is available to date and many patients are left with debilitating muscle weakness.(PMID: 35065039)

冒頭のa plethora ofは「過量の」「たくさんの」という意味のイディオムです。no cure is availableで治療法がないことが示されています。

Although surgical resection is associated with a complete cure in most cases of spinal dural arteriovenous fistulas (SDAVF) , …(PMID: 31142659)

こちらは否定形ではないパターンです。COCAでも見てみましたがrecoveryの場合、完全な回復を示すのはfull recoveryで、cureの場合はcomplete cureとなるようです。この辺のcollocationはなかなか難しいですね。

heal

こちらは「治る」「〜を治す」のどちらとしても使われます。ただ、傷や骨折など「自然に治癒する」という場合に使われるのがやや強い印象です。

As people age, wounds tend to heal more slowly.
歳をとると傷の治りは遅くなりやすい。

心など物理的な怪我以外にも使うことができます。

A broken heart takes a long time to heal.(Cambridge dictionary)
傷ついた心が治るのには長い時間がかかる。

医学論文での例

基本的にはあまり使われない日常用語のようで、ごく少数しかありませんでしたので割愛します。

treat

薬や処置などによって人や病気を「治療する」という意味で使われる動詞です。cureやrecoveryほど回復しきらない場合でも使われます。

etymologyを調べると、もともとは「扱う」「取引する」「交渉する」という意味の方が先にあったようです。ハロウィーンでお馴染みの”trick or treat”はこちらの意味ですね。

日本語だと「治療する」と訳されますが元は「扱う(deal with)」というところに重きを置いているので少しcureなどとは異なる印象なのだろうと思います。cureはto take care of, to cleanなどの意味を持つラテン語由来でcareとも同語源なようです。

大まかに言ってしまえば医師の行為のほとんどは病気や人を「治療する」わけですが、もう少しそれぞれの行為ごとに細かく分けると以下のような動詞があります。合わせて覚えておきたいところです。

prescribe a drug to ~ ~に薬を処方する
administer medication 薬を投与する
perform/undergo surgery 手術を行う
manage chronic diseases 慢性疾患を管理する
prevent stroke 脳卒中を予防する
alleviate pain 痛みを緩和する

医学論文での例

他に比べてあまりにも例が多いのでこちらも割愛します。

get over/ feel better

これらは「治る」「乗り越える」といった意味で日常的に使うphrasal verbです。get over以外にもget wellといった言い方もあります。

He has finally gotten over the cancer.
彼はついに癌を克服した。

Are you feeling better?
調子は良くなってますか?

I hope you will get well soon.
早くよくなることを祈ってます。

昔しばらく入院生活が続いていた時に海外の友人からget-wellと書かれたクマのぬいぐるみが送られてきたことがありました。日本語の「お大事に」と同様の定型文というわけですね。

まとめ

recover – 元に戻るが原義で完全に治ることを示す
cure – 一般的に病気や人を「治す」場合に使う
heal – 「治す」「治る」の意味があるが自然治癒の意味合いがある
treat – 医療行為などで治そうとする
feel better – 日常表現で使うidiom

医学的な話をする場合はほとんどtreatあるいはより具体的な動詞で良いように思いますが、日常的な場面も含めるともう少し細かい使い分けが必要そうですね。

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参考としているサイト・文献

(単語の意味・語源はこちらを参照Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus , 英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書, ハイパー英語語源辞書, Dictionary.com | Meanings and Definitions of Words at Dictionary.com, Etymonline – Online Etymology Dictionary, Oxford Learner’s Dictionaries | Find definitions, translations, and grammar explanations at Oxford Learner’s Dictionaries Oxford Collocation Dictionary of English, Oxford English Dictionary)

(共起表現はこちらを参考にしていますSKELL,COCA ,Just The Word)

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