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ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方③ -effect size, standard mean differenceについて/固定効果モデルとランダム効果モデル-

前回までの記事でメタ解析ではいかにして研究を集めて、バイアスリスクを評価するか、について述べました。今回からはいよいよメタアナリシスの肝である、集めた結果をどう統合するかを説明します。

 

まずは結果どうしが異なる指標の場合どうするか、ということ。次に結果の統合の方法について述べます。

 

前回までの記事はこちら

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方① -システマティックレビューとメタアナリシスの違い- – 脳内ライブラリアン

ここまでは知っておきたいメタアナリシスの読み方② -バイアスリスクについて(risk of bias)- – 脳内ライブラリアン

 

(2020.10.04追記)

より詳細なメタアナリシスの記事を追加しました

メタアナリシスについてより詳しく学ぶ①-fixed effects model, random effects modelと異質性

 

目次:

 

standardized mean difference / effect sizeについて

メタアナリシスを行う場合に、研究間で違う指標を使うことがあります。(例えば、認知機能の評価をするのにMMSEとMoCAとか)そうすると互いに比較や統合がしにくくなります。

 

そこで用いられるのがstandardized mean differenceです。それぞれの指標が平均同士の差である場合にstandardized mean differenceといわれますが、effect size, weighted mean differenceとかも大体一緒です。

やることとしては介入群とコントロール群の平均値の差を、標準偏差で割ります。

 

要するに偏差値の考え方と一緒

平均点30点の数学のテストでとった80点と
平均点70点の国語のテストでとった80点

 

この2つでは意味合いが全然違うので、標準偏差を使って割ることで、母集団と比べて
どのくらいの位置にいるのかを示したのが偏差値ですね。これと全く同じ話です。

 

ちなみにstandardized mean differenceの目安として

0.2→小さい 0.5→そこそこ 0.8→大きい とされています。(1=1SD分平均値の差がある、ということなので、1に近ければかなり大きいことになります)

 

固定効果モデルとランダム(変量)効果モデル

今度は結果の統合の方法です。それぞれ英語ではfixed-effects model, random-effects modelと呼ばれます。各研究の捉え方によってどちらを選ぶかが決まります。信頼区間もそれによって変わるのでどちらの方法を用いているか注意が必要です。 

①固定効果モデル

前提としてすべての研究結果に共通した真の値があると考えます。つまり試験は均質である、ということです。

 

そのため結果のばらつきはあくまで試験毎のランダムな誤差と考え、分散はそれぞれの研究内での分散のみを考慮します。基本的にサンプルサイズが大きい研究が重視される結果となります。重要なことは、信頼区間はランダム効果モデルより小さくなりやすいことです。(有意になりやすい)

 

②ランダム効果モデル

前提として、各研究は異なるもので、研究毎の異質性を考慮します。

そのため結果のばらつきは研究内容による研究間のばらつき+研究毎のランダムな誤差と考え、研究間の分散+研究内の分散を考慮します。こちらでもサンプルサイズが大きい研究が重視されますが、固定効果モデルのほうが影響は大きいです。また、こちらでは、信頼区間が固定効果モデルより大きくなりやすいです。(有意差出にくい)

 

 

 

続いては実際の結果の見方について書きます。

 

(2021.06.28追記 医学論文の読み方関係の記事はこちらにまとめました) 

medibook.hatenablog.com

 

参考文献:

これめちゃくちゃお勧めです。JAMAが出している医学論文の読み方を解説した本で、様々な手法の医学論文を網羅的に説明しています。論文読むたびに一度これを読んで、解釈にどういった注意点が必要なのかを確認しながら進めると、確実に論文を評価する能力と読むスピードが上がると思います。

 

ちなみにこちらが翻訳版です。読んでいるのは原著ですが、英語もさほど難しくないので原著でも読みやすいです。

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