Σ(和の記号)を使いこなせるようになろう①【統計検定1級対策】

Σ(シグマ)計算を使った式の変形問題は、統計検定でも結構出ています。

公式を1個1個は理解しているのですが、果たしてどこをどのように変形していけばいいのか、分からなくなることが個人的には多いです。

もともと数学出来る人というのは、こういう変形ではあまり困らないかもしれません。ただ、そういった人も結局は問題を解くことを通じて、経験的にどうすればいいのかが分かっているのではないかな、と思います。

そこで、統計検定の過去問と現代統計数理学の基礎の問題を通して、その変形のよくある例とtipsを見てみます。Σの記号の特性とか公式を論じるつもりはないので、ご注意ください。

目次:

数理統計の問題でよくみられるΣの使われ方

まずどういう使われ方で現れるかと言えば、主には標本平均・分散を問う問題でしょう。

超基本的な話ですが、標本平均やその期待値と分散、不偏分散についてみてみます。これも問題としては序盤で出てくることがありますね。

母集団から得られた標本をX_1, X_2, ..., X_nとする。母平均を\mu、母分散を\sigma^2とします。

標本平均は

\frac{1}{n}\sum_{i=1}^nX_i=\bar X

であり、期待値をとると

E[\bar X]=\mu

標本平均の分散は

V(\bar X)=V(\frac{1}{n}\sum_{i=1}^nX_i)\\=\frac{1}{n^2}\sum_{i=1}^nV(X_i)\\=\frac{\sigma^2}{n}

標本分散は

\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar X)^2

不偏分散は

\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n(X_i-\bar X)^2

となります。あとで証明を例題として書きます。

よくみられるのは

\sum_{i=1}^nX_i=n\bar Xのような感じの変換でしょうか。

不偏分散の導出の際にも使われています。

もう1個、形としてよくみるのは

\sum_{i=1}^n(X_i-\bar X)=0という使われ方ですね。

自分みたいに数学的理解度低めな人は、良く分からなくなったら、とりあえず和の記号をばらして考えるのも良いと思います。

ばらしてみるとよくわかりますが

\sum_{i=1}^n(X_i-\bar X)=(X_1-\bar X)+(X_2-\bar X)+...+(X_n-\bar X)\\=n\bar X -n\bar X=0

となります。

また、もう一つよく使われる変形として、期待値は加法定理が成立するので

E[\sum X_i]=\sum E[X_i]

というものもあります。

これらの特性は分かっていながら問題が解けない場合は、練習が必要です。統計検定の過去問を中心に実際解く流れを確認してみます。

例題①:不偏分散の導出

\frac{1}{n-1}\sum(X_i-\bar X)^2が母分散の不偏推定量であることの証明です。この数式の期待値が母分散に一致することを示してみます。

ここでは、先ほどと同様の前提条件で母集団から得られた標本をX_1, X_2, ..., X_nとし、母平均を\mu、母分散を\sigma^2とします。

ちなみに、2015年の統計検定1級の過去問でも同様の問題があるので、覚えておいた方が良いと思います。

まず定数項をはじき出して、展開します。

E[\frac{1}{n-1}\sum(X_i-\bar X)^2]\\=\frac{1}{n-1}E[\sum(X_i-\bar X)^2]\\=\frac{1}{n-1}E[\sum(X_i^2-2X_i\bar X+\bar X^2)]

和の記号は期待値の外に出すこともできますが、前回の例題でもみたように\sum X_iという組み合わせは、変形することができるので相性が良いのです。先に和の記号の計算を入れます。

E[X_i^2]=\mu^2+\sigma^2であり

またE[\bar X^2]=\mu^2+\frac{\sigma^2}{n} を利用して

\(\frac{1}{n-1}E[\sum(X_i^2-2X_i\bar X+\bar X^2)]\\=\frac{1}{n-1}E[\sum(X_i^2)-2n\bar X^2+n\bar X^2]\\=\frac{1}{n-1}E[\sum(X_i^2)-n\bar X^2]\\=\frac{1}{n-1}(\sum E[X_i^2]-nE[\bar X^2])\\=\frac{1}{n-1}\{n(\mu^2+\sigma^2)-n(\mu^2+\frac{\sigma^2}{n})\}\\=\frac{1}{n-1}(n-1)\sigma^2\\=\sigma^2\)

これで証明ができました。

次の記事でも過去問との関連問題を中心にみていきます。

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