「軽視する、けなす」「批判する」の意味を持つ動詞を集めてみました。人や物事を「(本来以下に)低く評価している」のか「批判している」のか「評判を落としている」のかで微妙にそれぞれ意味合いが異なりそうなので、そこに着目しながら分類していきたいと思います。
disparage
〜をけなす、批判する
▶︎元々は古フランス語のdesparagier(階級の違う、階級の低い人と結婚する)という意味でdis(離れた)+parage(階級)の意味から作られています。peer, parといった単語も同様の語源で「同じ階級」ということを意味しています。
▶︎「軽んじている」という意味を含んで「批判する」という感じになるので、criticizeよりも意味としては狭いと言えます。
▶︎共起表現ですが、目的語としては人を対象に取り得るため特別に多い名詞というのはあまりなさそうです。権威の対象は批判となりやすいためかpresident(あるいは具体的な大統領の名前、trump, clinton)などがあがっています。またreligion「宗教」もある程度多いようです。また、副詞では”publicly/openly disparage”(公然と批判する)や”widely disparage”(広く批判する)などを伴いやすいようです。
▶︎形容詞形としてdisparaging, 副詞としてdisparaginglyという言葉もあります。批判というと発言や言葉に関するワードと合わせやすいのでdisparaging remarks(中傷発言), disparaging commentsやspeak disparagingly of〜(〜について批判的な発言をする)のように使われます。
【例文】
The actor’s work for charity has recently been disparaged in the press as an attempt to get publicity.(Cambridge dictionary)
その俳優のチャリティーの仕事は注目を浴びるための試みだと最近雑誌で批判されている。
denigrate
名誉を傷つける、けなす
▶︎de(completely) niger(black)と言う意味から「汚れる」と言うのが元々の意味でラテン語のdenigratusからきています。ちょっと現代的には気になってしまう語源ですね。
▶︎disparageとは少し異なって「評価を低くみる」あるいは「評判を汚す」という要素が強いようです。
▶︎共起表現は「汚す」という要素のためか、人以外に宗教や文化が対象となりやすいようで目的語にはculture, religionなどが挙げられます。また副詞ではdisparageと同様に「公然に」を意味するpublicly、「不平等に」を意味するunfairlyなどが使われます。
【例文】
You shouldn’t denigrate people just because they have different beliefs from you.(Cambridge dictionary)
単に違う信仰を持っているからといって人を中傷するべきではない。
I didn’t intend to denigrate her achievements.(Oxford learner’s dictionary)
彼女の成功を貶めるつもりはなかった。
belittle
軽視する、軽んじる、けなす
▶︎元々は文字通りbe littleで「小さくする」という意味だったものが徐々に転じて「軽んじる」となってきたようです。
▶︎ 「低く評価する」という意味にはなりますが、批判的な意味合いがそこまで強くない場合でも使えるようです。例えば
Stop belittling yourself – your work is highly valued.(Cambridge dictionary)
自分を軽く見るのはやめなさい。君の仕事は高く評価されているよ。
という具合ですね。
▶︎実際の評価よりも軽く見るという意味では、句動詞を使った表現としてlook down onもあります。
He looks down on me.
彼は私を見下している。
【例文】
By saying this, I do not mean to belittle the importance of his role.(Oxford learner’s dictionary)
これをいうことで彼の役割の重要性を軽んじるつもりはない。
defame
評判を落とす
▶︎dis(破壊などの否定的な意味での接頭辞)+fama(ラテン語でa report, rumorの意)から由来しています。ぱっと見でも分かるとおりfame, famousが同じ語源となっています。
▶︎disparageやdenigrateで見られた「評価を低く見る」とは異なって「評判を落とす」というのが主体です。類義語としてslanderがありますが、こちらは口頭での悪口を言う、評判を落とすような場合に使われるようです。
▶︎名詞形のdefamationは名誉毀損として使われる単語です。先ほど類義語として出たslanderは辞書での定義を見ると口頭での名誉毀損の場合に使われ、libelという単語は書いたものによる名誉毀損の場合に使われるようです。「名誉毀損で〜を訴える」というのはsue someone for defamationというような形で使われます。さらに「〜について」と言いたい場合はofを伴うようです。
▶︎名誉毀損という法的な意味合いが強いためか共起表現として目的語になるのはcharacter「人格」, reputation「評価」などが上がります。
【例文】
He is suing for defamation of character. (Cambridge dictionary)
彼は人格に対する名誉毀損として訴えている。
The newspaper denies any intention to defame the senator’s reputation.(Oxford learner’s dictionary)
その新聞は上院議員の評判を落とす意図があったことを否定した。
decry
非難する
▶︎des(apart) cryから来ているラテン語由来の言葉です。離れたところまで叫ぶという意味合いから「公然と非難する」という意味となっています。
▶︎反対する思いが強く非難している場合に使われ、これまでの単語のような「評判を落とす」「軽んじる」とは異なります。類義語はcondemnですが、辞書的な定義でいくと倫理的な事柄について非難する場合にcondemnが適しているようです。
【例文】
The editor of the newspaper was condemned as lacking integrity.(Oxford learner’s dictionary)
その新聞の編集者は誠実さが欠けていると非難された。
まとめ
違いについてざっとまとめてみます。
disparage – 尊敬できない、という意味で批判する
denigrate – 名誉が傷つく、汚れる
belittle – 低く評価される
defame – 評判を落とす
decry – 公然と非難される
批判するという意味では「尊敬できない」「低く評価する」という意味も含めるならdisparage、単純に広く非難するという意味ならdecryが近そうです。
名誉や評判を傷つける、落とすという意味ではdenigrate, defameが近く、特に名誉毀損といった意味合いならdefameが適しているでしょう。
また低く評価する、軽視するという意味に着目するならbelittleやlook down on, underestimateといった表現があります。underestimateはより明確な指標を持って過小評価する場合に適しています。
類義語の違いを中心とした英語学習関連の記事の更新を呟くtwitterはこちら。
tosuke@コーパスで学ぶ!TOEFL・論文・学術英語 (@tosuke93001383) / Twitter
また、英単語の使い分けを簡潔にまとめたInstagramはこちら。
tosuke|コーパスで勉強する!学術英語(@medienglishtos)• Instagram写真と動画
関連記事
英語学習に役立つコーパスについてまとめた記事はこちら↓
中級以上の英語の学習方法について書かれた本のレビューはこちら↓
スピーキングでのアウトプット練習に役立つレッスンの紹介はこちら↓
ライティングでのアウトプット練習に役立つサイト紹介はこちら↓
コーパス・辞書などを使って分かりにくい類義語についてまとめまくった記事の一覧はこちら
参考としたサイト・文献
(単語の意味・語源はこちらを参照Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus , 英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書, ハイパー英語語源辞書, Dictionary.com | Meanings and Definitions of Words at Dictionary.com, Etymonline – Online Etymology Dictionary, Oxford Learner’s Dictionaries | Find definitions, translations, and grammar explanations at Oxford Learner’s Dictionaries Oxford Collocation Dictionary of English)
コメントを残す