※ブログ記事の商品・サービスリンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。

【連続した】successive,consecutive の違い【医学論文の英語表現】

臨床研究の論文で時折見かける”consecutive patients”という表現ですが直訳すると「連続した患者」という意味になります。わざわざ何を強調したくてこのconsecutiveをつけるのか気になったので、似た単語であるsuccessiveと合わせて勉強してみます。

単語の意味と共起表現

まず、それぞれの単語の意味を調べてみます。

・successive

happening one after the other without any break

・consecutive

Consecutive events, numbers, etc. follow one after another without an interruption

まるで違いがわかりませんね笑

ちなみに”break”の意味を調べると最初に”an interruption”と出てきてしまうので、もはや違いはfollowとhappenかあるいはconsecutiveの冒頭の”consecutive events, numbers, etc.”にしか求められなくなります。

そこでSkellを使って共起表現を調べてみますと修飾する語句としてどちらも共通してwin, victory, seasonなどが出てきます。

「〜連勝」や「〜シーズン連続」という単語で日本語でもよく使われそうですね。

ところが異なる点としてyear, monthといった数字に関する表現はconsecutiveで多く認められます。これはかなり数字的に連続したものになりますね。

また、generation, wave, iterationといった表現はsuccessiveで認められます。generationはそれぞれの世代で間がありそうなイメージですし、waveも波が来たり引いたりで間が開きます。

辞書の意味ではいまいち表現されていませんが調べるとconsecutiveは連続したもの、successiveは続いてはいるけれど不連続でも良いものを示したりしているようです。

例えば、こちらのページなどを参考にしてください。
consecutiveとsuccessiveの違い・使い分け

こうした視点で見てみると次で示す論文の例の違いもなんとなく感じ取れる気がしますが、どちらの表現も同様になされるものもあったりするので上記のように共通する部分もあるのだと思われます。

(単語の意味はこちらから引用Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus)

(共起表現はこちらを参考にしていますSKELL)

(勉強の方法はこちらを参照中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー – 脳内ライブラリアン)

医学論文を含めた用例

・successive

To provide clinical-based evidence for disease anticipation in families carrying a C9orf72 repeat expansion by analyzing age at onset, disease duration, and age at death in successive generations.

JAMA Neurol. 2017 Apr 1;74(4):445-452.

ALSに関連する遺伝子として有名なC9orf72の論文です。successive generationsという表現は「後に続く連続した世代」という意味で医学論文以外でも用いられうる表現となっています。

Dementia incidence decreased in successive birth cohorts.

JAMA Neurol. 2017 Nov 1;74(11):1345-1351.

コホートについてはどちらの表現も使われているようですが、明確に連続した集団を集めている場合はやはりconsecutiveの方が良さそうです。前向きコホートなどで集める場合にもバイアスを除くためには連続性があることが大事なので、強調する必要があるのでしょう。この例のような過去のコホートをある塊ずつに分けて見るような場合はsuccessiveでも良さそうです。

This was followed by a droxidopa titration with 100 mg increments in successive days.

Neurology. 2018 Oct 16;91(16):e1539-e1544.

連続した数値という意味だとconsecutiveが使われやすそうですが、「連日」という熟語としてはsuccessive daysがよく使われます。

・consecutive

We conducted a dual-center cross-sectional study with CA and PD subjects enrolled through consecutive sampling from movement disorders clinics at Columbia University Medical Center and…

Neurology. 2022 Apr 15:10.1212/WNL.0000000000200349.

上でも述べましたがconsecutive samplingというように連続して標本を抽出することはバイアスを減らすためには大切です。そこでは選択バイアスがないことを示すためにconsecutiveという単語をしっかり使うことが大事でしょう。

We analysed consecutive patients with AF with an index imaging-proven ischaemic stroke…

J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2022 Apr 8:jnnp-2021-328391.

こちらも同様ですね。consecutive patientsという表現もよくみられます。基本的に臨床論文であれば選択バイアスなく抽出することをconsecutive patientsとしているようです。論文での用語の使用方法について述べたeditorialでもこのことは触れられています。

Editorial: Words and Meaning in Scientific Reporting: Consecutive, Prospective, and Significant

*コメントを受けてsuccessive generationに関する部分などを一部修正させていただきました(2023/5/30)

4件のコメント

こんにちは。consecutive patientsの定義を再確認しようと検索していて、ここに迷い込みました。ですが、記事が尻切れトンボで、かつ推論部分も不正確なので、同じように本サイトに迷い込んだ人のためにも、コメントを残しておきます。

 まず、successiveは、基準点があって「その後に(連続して)続く」という意味です。ですから、C9orf72の論文と認知症の論文は「後に続く世代(子孫の世代)」であり、「各世代」では若干意味が違ってきます。droxidopa の論文は(まず検査をして)「その後は連日」ということで、初期治療と維持療法の両方を組み入れた試験などで頻出する用法です。

 一方のconsectiveは、こうした基準点がなくても使える語です。英語サイトの解説などを参照するに、1つの医療機関を(検査・診断から治療まで)継続受診している患者で、実臨床の観察研究の論文でよく見かけますが(「連続症例」)、単施設のconsective patientsをRCTに無作為化するというのももちろんアリです。

hirohoさん

コメント有難うございます。おっしゃる通り明確な違いが指摘できず、申し訳ありませんでした。
「各世代」というのは意味が離れてしまっているので修正させていただきます。

successiveとconsecutiveの違いについて「基準点のある/なし」をあげていますが、そのような意味を
解説しているページ、辞書等はありますでしょうか?英文での検索もかけていますが見受けられず困っています。
英語圏でのいわゆるQ&Atypeのサイトではconsecutiveが順序立って連続性のある場合で、successiveは数字としては間が空きうるが
全体としては連続している場合とされている意見が散見されます。
実際例えば、pubmedにおいて”successive days”を検索をかけたときに出てくるのは必ずしも特別な
基準点や複数の治療があるものではなく(もちろん開始する時点が基準点かといえば全て当てはまるわけですが)
単純に連日投与をしているプロトコールのものも多いように思います。
何かご存知の点がありましたらご教示いただけますと幸いです。

また、consecutive patientsという表現ですが、例えば次の論文のように初回入院の症例を解析する場合にもconsecutive patientsが使われていますので「継続受診をしている」という意味よりは「受診が連続した症例(=連続しており漏れがなく、選択バイアスの影響がない)」 という意味の方が臨床論文では多いと思うのですがいかがでしょうか?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3413804/

医学論文でのconsecutiveという用語の使い方について説明された以下のeditorialでも同様にconsecutiveは「選択バイアスのない連続した症例」について使うことが指摘されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3734409/

つまり、ある検査結果などが、ある一時点での不特定者の結果ではなく、同一症例での経緯が追える検査結果である、といったことであると理解しました。

tosuke へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)