今回は「悩ませる、困らせる」などの意味を持つ動詞、afflict, trouble bother, distress, annoyの違いについて見ていきます。「(物事)が(人)を悩ませる」という表現は日本語ではあまりしないので、どうもこの手の動詞は馴染みづらいところがありますが、口語でもよく使われうる動詞なんですよね。しっかり覚えておきたいです。
違いのポイント
「悩ませる」「困らせる」という場合に、目的語にあたる人が
・労力がかかるのか、それとも感情的に怒りや困惑を生むのか
・程度は強いのか弱いのか
この辺りのバランスによって使う動詞が異なるように思います。
afflictは社会問題や病気などの不快なことで悩まされる場合に使われる動詞です。あとに続くtrouble, botherよりは重い印象があり、個人だけでなく社会的に悩まされているという文脈でも使われています。
troubleは困らせる、悩ませるという意味で幅広く使える動詞です。英和辞書などを見るとbotherよりも「気を揉ませる」感じなようです。より厄介で困る状況に適しているかもしれません。
botherは「悩ませる」もありますが、「〜の手を煩わせる」という意味合いでも使われる動詞です。「面倒をかける」といった表現も近いと思われます。
distressは苦痛や苦悩がより強い状況を指します。またよりフォーマルな表現でもあるため専門用語やニュースなどでも散見します。
annoyは感情的に怒りを伴って悩まされる場合に使われます。irritateなどが類語となり、感情に着目している点で上述の動詞とは少し異なります。
では実際に具体例と共起表現をみていきます。
afflict
【意味】
(病気・問題などで)悩ませる
▶︎ad(to) fligere(to strike)が語源、conflictとも同じ語源です。
▶︎社会問題や病気など不快な、害のあるようなことで悩まされる場合に使われます。
【共起表現】
be afflicted with
~で悩まされる
a disease/illness afflicts
病気が悩ませる
famine afflicts
飢餓が悩ませる
【例文】
He had been afflicted with a chronic illness for a long time, but finally, researchers found a treatment for the disease.
彼は長年慢性的な病気に悩まされていたが、最終的には研究者たちがその病気の治療法を見つけ出した。
Deprived people were disproportionately afflicted by COVID-19.
困窮している人々は不釣り合いにCOVID-19によって苦しめられた。
trouble
【意味】
心配させる、困惑させる
▶︎心配したり、慌てさせられたりするような事柄で悩まされる場合に使われます。前述のafflictとは対象が異なる印象はあります。
▶︎動詞としては”sorry to trouble you, (お邪魔してすみませんが)”というフレーズのように、「~を中断させる」という意味もあります。
【共起表現】
conscience troubles
良心が悩ませる
dream troubles
夢が悩ませる
【例文】
When he fall asleep, he is always troubled by dreams.
彼は眠る時いつも夢に悩まされている。
His conscience troubled him.
彼は自分の良心に悩まされていた。
bother
【意味】
手を煩わせる、心配させる、困惑させる、悩ませる
▶︎こちらもtroubleと同様に口語で”I’m sorry to bother you.(お邪魔してすみません)”という使われ方をします。
【共起表現】
conscience bothers
良心が悩ませる
bother with ~
~に心を悩ませる
worth bothering
悩む価値のある
▶︎手間をかける、労力をかける、というところから表現ができるのだと思いますが、troubleも同様にworth the trouble to ~という形で「骨を折る価値のある」という意味になります。
can’t be bothered ~ ing/ to do
面倒くさい、わざわざ〜したくない
▶︎ぱっと見分かりにくい表現ですが、これも「手間をかける」というところからでしょうか。「〜に煩わされたくない」=「面倒くさい」ということになるのではないかと思います。
【例文】
I can’t be bothered doing the dishes everyday, so I use a dishwasher.
毎日皿を洗うのが面倒くさいので、食器洗い機を使います。
Philosophy isn’t worth bothering with.
哲学はわざわざ心を悩ませるような価値のあるものではない。
distress
【意味】
非常に心配させる、困惑させる
▶︎辞書の定義上はtrouble, botherよりも「強く悩ませる」となっています。
▶︎名詞として「苦痛」、「苦悩」などで使われることが多いです。ちょっと違った使い方として船や飛行機で遭難した場合もa distress signal(遭難信号)やin distress(遭難している)といった表現をします。in distressについてはもうちょっと一般的に「窮地にある、苦しい状況にある」という意味でも使われます。
▶︎なお、医学的にも「苦しい状況」=「困難」という意味で用いられ、respiratory distress(呼吸困難)という言葉があります。重症患者で見られるARDSはAcute Respiratory Distress Syndromeの略ですね。普段使うのは略語ばかりで元の単語は忘れがちです笑
【共起表現】
psychologically distressed
精神的に悩まされた
economically distressed
財政難の
deeply distress
深く悩まされる
【例文】
He is always distressed about the argument between his parents.
彼は両親の喧嘩でいつも悩まされていた。
Don’t distress yourself.
気に病まないようにね。
annoy
【意味】
イライラさせる
▶︎botherの類義語として「不快な/落ち着かない状態にさせる」という意味もありますが、annoyはirritateなどと共通して「ちょっと怒りを引き起こす(to make somebody slightly angry)」というのが主な意味となっています。
【共起表現】
a noise annoy
騒音がイライラさせる
attitude annoy
態度がイライラさせる
mildly/slightly annoy
少しイライラさせる
【例文】
Stop annoying me!
イライラさせるのをやめてくれ。
His positive attitude is annoying me.
彼のポジティブな態度はイライラする。
まとめ
最後に簡単なイメージをまとめてみます。
afflict – 社会的な問題や病気などで悩ませる
trouble – 気を揉むような状況で悩ませる
bother – 労力がかかることで悩ませる
distress – 強い苦痛や苦難で悩ませる
annoy – 感情的にイライラを伴って悩ませる
他にもworry, concernなど類語は結構ありますので、さらに少しずつ広げていけると良さそうですね。
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参考としたサイト・文献
(単語の意味・語源はこちらを参照Cambridge Dictionary | English Dictionary, Translations & Thesaurus , 英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書, ハイパー英語語源辞書, Dictionary.com | Meanings and Definitions of Words at Dictionary.com, Etymonline – Online Etymology Dictionary)
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